更新日:2024年12月05日 15:10
エンタメ

「2025年に開園するテーマパーク」ディズニーランドと好対照の“異世界”にかかる期待

ウォルト・ディズニーの“常軌を逸した”こだわり

そもそも、テーマパークのはじまりは、我々もよく知っている「ディズニーランド」に遡る。それまで、遊園地といえば、大きな敷地に遊具が置かれているだけだった。しかし、ディズニーランドを作り上げたウォルト・ディズニーは、その乗り物にバックストーリーを持たせたり、あるいはその乗り物が置かれている周りの環境もそのバックストーリーと沿うものにしたりと、園内の中に「物語」を立ち上げていった。 テーマパークの定義としてよく使われるのが、「園内の遊具や建物、装飾がある一つのテーマに基づいて組織化された娯楽施設のこと」というものだが、ここでいう「物語」はこの「テーマ」のことである。だから、テーマパークは「テーマ」パークと呼ばれるのである。 ウォルトの「テーマ」への執着は常軌を逸したものであった。よく現れているのが、ディズニーランドの風景設計だ。ウォルトは、ディズニーランドの中を徹底的に、現実世界とは異なる世界として形作ろうとした。有名な話だが、ディズニーランドの園内からは外の風景が見えないように視覚的な配慮がなされている。 また、逆に外からディズニーランドの中の風景も見えないようになっている。これが何を意味しているかというと、徹底的にテーマパークを、外界からは隔絶された一つの「異世界」として形作ろうとした、ということである。このようなウォルト・ディズニーの方向性は、その徹底具合はさておいたとしても、後続のテーマパークには基本的に踏襲された。

日本に数多く建てられた「異世界」

例えば、1980年代ぐらいから、日本には数多くのテーマパークが誕生したが、それらの多くは外国をテーマにしていたり、おとぎの世界をテーマにしていたりする。例えば、グリュック王国や倉敷チボリ公園、志摩スペイン村に長崎オランダ村(現・ハウステンボス)など、すでに閉鎖してしまったものから現在営業中のものまで、数えきれないほどのテーマパークがこの方向性で作られた。日本にはディズニーランドゆずりの「異世界」が次々と建てられていったのである。 そのように考えたときに、「JUNGLIA」の興味深さはどこにあるのか。現在発表されている情報を見る限り、明らかに「JUNGLIA」はディズニーランドの方向性を向いている。つまり、日常生活とは違う「大冒険の世界」という「異世界」を作ろうとしている。
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「外部環境を積極的に取り入れる」ことに注目
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ライター・作家。チェーンストアやテーマパークをテーマにした原稿を数多く執筆。一見平板に見える現代の都市空間について、独自の切り口で語る。「東洋経済オンライン」などで執筆中、文芸誌などにも多く寄稿をおこなう。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社)『ブックオフから考える』(青弓社)
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