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「総額は100万円超えかも」客からのクレームで発覚した“まさかの事実”。バイトのセコい手口に気づかなかった店主の後悔

アルバイト任せだった売上管理

 3日後、客からの返品商品が届き、箱を開けると確かに2品入っていました。早速返金処理を始めた江田さんですが、販売履歴とのズレが気になったため、もうすぐ決算ということもあり、少し早めの棚卸しを行うことにしました。 「棚卸しをしてひととおり在庫の確認をしたのですが、返品されてきた革製の小物入れが売れていないことになっていました。お恥ずかしい話ですが、在庫管理はアバウトなところがあって、毎年一定の過不足があるんです。でも、この小物入れはサンプルで一つだけ仕入れた商品で、売れずにずっと残っていたのです。店にあるはずの商品が返品されてきたということは、この客が購入したからにちがいないのですが……」

手口のポイントは「現金書留」だった

 その後、江田さんは売り上げ管理の資料に目を通していると、この客が現金書留で購入したことに気づきます。他にも、在庫と入金額のズレが何件も見つかったのでした。 現金書留「この過不足のからくりがようやく判明しました。ウチの販売はほとんどがカード決済で、ごくまれに銀行振込が発生します。これらの決済の履歴データが残ります。 でも、決済が現金書留の場合は、オフラインなので、田中くんが自ら入力してはじめて履歴データが作成されるのです。だから、一部の売上げだけを計上し、余った現金を抜き取ったんじゃないか?と疑ったのです」  日を改めて田中くんに問いただした江田さん。すると彼は、ちょこちょこ現金を抜き取っていたことを白状したそうです。 「あきれましたよ、正直。アルバイトを始めてから数カ月後にはこの悪行を始めたそうです。最初は少額のアクセサリーなどに限定していたそうですが、徐々にエスカレートしたらしくて。総額は100万円を超えているかもしれません。ただ、監督する立場の私たちにも責任があったので、弁償は求めず辞めてもらいました」
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信頼しすぎた自分たちも悪かった…
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愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
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