仕事

“灼熱の工場で9日間も長時間労働” 70代が過労死したケースも…「高齢者の労災」が増え続けるワケ

事例から見るシニアの労災

AdobeStock_376725569過労死事件を多く扱う弁護士の尾林芳匡氏も、「高齢者の立場の弱さが労災に繫がるのでは」と話す。 「’23年に過労死だと労災認定されたケースとして、厚焼き玉子を作る食品会社で働いていた70代男性が’20年に心筋梗塞で亡くなった事例があります。この男性は会社が卵を仕入れすぎたために、通常の倍以上を製造することを命じられ、深夜や休日も働いていたそうです。食品工場内はとても暑く、その中で9日間にわたり長時間労働をしていました。このように高齢者には過酷な仕事で無理に働くケースが多いのです」 尾林氏は「長時間労働だけでなく、寒暖差の激しい環境で働く人は特に気をつけてほしい」と警鐘を鳴らす。 「例えば真冬の屋外勤務や、暑い厨房内でマスクを着けながら働く場合です。長時間労働ではなくても、寒暖差によって血管がダメージを受けて脳や心臓に疾患が生じると過労死が起きやすくなります」

仕事を選ぶ際に重要なポイント

また、仕事を選ぶ際にも「シニア労働者への配慮がある職場かどうかを、きちんと調べるべきだ」と続ける。 「労働時間は無理のない範囲内なのか、夜勤が多くないか健康診断はあるのか、急に体調が悪くなったときに休めるのか。そういった条件は面接時に聞いたほうがいいですし、同年代が実際に働けているのかも調べておきましょう」 シニアを求める職場が増えているのだから、「ここがダメでも次がある」という強い気持ちを持ったほうがいい。 【労災ユニオン局員 佐藤 学氏】 総合サポートユニオンでの活動から続いて、’19年の労災ユニオン立ち上げ後も仕事によるケガや病気、過労死など多くの相談に対応
[60歳から稼ぐ]最強の働き方

佐藤 学氏

【弁護士 尾林芳匡氏】 八王子合同法律事務所所属。30年以上にわたり、過労死や労働災害の裁判などを多く担当。その経験からメディアへの寄稿も多数
[60歳から稼ぐ]最強の働き方

尾林芳匡氏

取材・文/週刊SPA!編集部
1
2
おすすめ記事
ハッシュタグ