元日開催のサッカー日本代表戦が、“お祭りムード”にはならない理由
3年ぶりに元日の国立競技場にサッカーが戻ってくる。
元日の国立競技場といえば、天皇杯決勝というイメージを持っている人はいまだに多く、正月の風物詩として定着している。2014年1月1日が旧国立競技場での最後の開催となり、翌年以降は開催地はおろか開催日も変更となった。2020年1月1日には新しくなった国立競技場で天皇杯決勝が行われ、その翌年も同日の同スタジアムで開催され風物詩が戻ってくると思われた。が、その翌年は12月19日に決勝が開催。ワールドカップの影響を受けた2022年シーズンは10月16日の決勝となった。今季は元日の天皇杯決勝が戻ってくるかと思われたが、決勝は12月9日に開催された。
選手ファースト、クラブファーストで考えれば、天皇杯に勝ち残ることで1カ月近くシーズンが伸びることになり、休暇の少ない選手のコンディションやクラブの新体制づくりに悪影響を及ぼし公平性が保ち難い。2026年からリーグ戦の開催が秋冬制に移行されることが決定し、その状況になれば先述の理由もなくなるのだが、現状を踏まえると正月の風物詩はもう戻ってこないのかとさえ思わされていた。
しかし、日本サッカー協会は元日の国立競技場で日本代表対タイ代表の試合を開催すると発表。大会こそ違うが注目度が著しく高い元日の国立競技場にサッカーが戻ってくることになった。
元日はFIFAの定める国際Aマッチデーではないため、各協会に選手の拘束力はない。そのためクリスマス休暇などなく年末年始に試合が開催されるイングランド、スコットランド、スペイン、イタリア、ポルトガルなどのクラブに所属する選手は招集できなかった。
1月12日に開幕するAFCアジアカップ カタール2023(日本の初戦は1月14日)に向けて最後のテストマッチとなる希少な実戦機会で、その大会に出場できるメンバーの最終選考の場となる。実際に、試合直後にアジアカップに向けた最終メンバーの発表が行われる予定になっている。元日のタイ代表戦に招集されたメンバーにとってサバイバルとなることは間違いなく、正月だからといって試合内容は決して“お祭りムード”にはなることはないだろう。
かつては正月の風物詩だった
“お祭りムード”にはなることはない
スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
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