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“日本の金融教育”が進まないワケ「お金をどう働かせるか、7歳までの教育で決まる」

日本の金融教育はなぜ進まない?

写真はイメージです

――日本で親子間でお金の話をしづらい要因は? 齋藤:昔からの文化で、お金が汚いという文化になってしまっていること、「日本は過去、経済大国だったので、お金について困ることはなく、そもそもお金について話さなくても大丈夫だったということ」があると思います。 ――「お金は汚いもの」、「苦労して稼ぐことが美徳」とされている理由は? 齋藤:今は、崩壊していますが、終身雇用が関係しており、自分が勤めている企業のためにひたすら働かないといけないという考えが今でも残っていると思います。また、男性社会というのも残っていると思いますね。今では、男性の方でも一概に稼げる環境ではなく、「たくさん働いた=お金がたくさん稼げる」という訳ではないので、女性も働かなければならないことも多くなってきていると思います。また、人口が減少していることも背景として大きいと思います。働く人が数多くいて、日本が豊かになってきたという歴史があるなかで、今もたくさん働き、苦労して稼ぐことが美徳となっているのかなと思います。しかし、今は、たくさん働いても稼ぐことができない場合も多いため、自分が働くよりもお金をどう働かせるかを子どもの時から考えることが必要になってくると思います。 ――家庭で子どもへの金融教育は何歳から、どのような話をしたら良いでしょうか? 齋藤:日本では、お金の研究が進んでいないのですが、海外では進んでおり、3歳からお金の認識が始まるとされています。7歳までにお金の性格が決まり、それが、一生変わらないと言われています。しかし、日本の今の現状だと、7歳までにお金のことを教えていくとなると、どのように教えていけばいいのかわからない、という声が多い状況です。私は、「わからないかもしれないけれど、話してみる」という環境を家庭内で作っていくことが一番大事だと思っています。

子どものうちから始めたいお金の話

――日本でも投資などのお金の運用を進めるために、どのようなアクションをすれば良いのでしょうか? 齋藤:私が一番伝えていきたいことは、将来的にお金が足りなくなってくるという、漠然としているものの確実な未来に対し、まずは教えていく必要があると思います。次に、家計管理が基礎だと思います。自分のお金をただもらうのではなく、何をしてお金をもらい、何を目的としてお金を使うのかを決めることが大切です。これは、お手伝いをして、お小遣いをもらい、そのお小遣いを何に使うのかを決めることから始めることができると思います。ただ無駄遣いをしてはいけないと伝えても、なぜ無駄遣いをしてはいけないのか、子どもにはわからないですし、お金を稼ぐ目的や背景もわからなくなってしまうためです。お金の価値=硬貨ではないです。よく、価値観がわからなくなるから現金にするという声もよくいただくのですが、どこからきているかが価値になっています。 ――「キャッシュレスが進む社会で、現金社会で生きてきた人がスマホでチャージをして、気づいたらお金がなくなっていた」というニュースを度々目にするのですが、キャッシュレス社会でお金を使いすぎないためにはどうすれば良いのでしょうか? 齋藤:おそらく、使いすぎてしまう人は振り返りをしない人だと思うんですね。例えば、よく1ヶ月の明細を見てびっくりするというのがあると思うのですが、明細を見るのは、1ヶ月ではなく、1日にすべきだと思います。1日、10,000円使ったという明細を見て、このまま毎日使っていたらひと月の支出は30万円だと認識する。他にも、毎日、振り返りが可能なツールやカードを持てば良いのかなと思っています。自分にどんなツールがあっているのかというのは、きちんと情報収集をして決めていく必要があると思います。 ――ほとんどのご家庭で子どもは、学校の教育費、習い事にいくらかかっているか知らない状況だと思うのですが、これもお子さんに対して、「見える化」していくことが大事だということでしょうか? 齋藤:私には子どもが3人いるのですが、子どもが習い事に行きたくないと言う時があるんですね。そんな時は、「あなたには月に〇〇円かかっていて、〇〇円払うためにママとパパは一日お仕事したんだよ」と話すと、両親が働いたお金で習い事をしていると理解してくれます。まだ、子どもが小学1年生なので、1,000円がどれくらいの価値なのかわかっていないのですが、子どもから「1,000円欲しい」と言われたら、「わかった、じゃあママ1時間働いてくるね」と言うと、「大丈夫、我慢するから1時間働かなくていいよ」と言われたりするので少しづつ理解してくれるのかなと思います。  世界の物価や金融事情は日々変化し続けているため、親が子に教えるというよりも、「親子で一緒に学ぶ」ということが大切だと感じました。私は、日々、アプリで支出入を管理しているのですが、2024年が始まったということで、幸せな年にするために、より最適なアプリを探したり、他の投資方法を考えたりとお金について改めて考えたいと思います。 齋藤 舞 さいとう・まい 株式会社MEME代表取締役。テンプル大学国際経営学部に在学中にインターンにて商社へ入社後、そのまま大学を休学し就職。貿易業務、プロダクトマネージャー、海外新規事業のプロジェクトに従事。海外事業部の責任者の経験を経て、2019年にコンサルティング会社を設立し、親子向けの金融教育セミナーの企画運営や女性向け商品の販売を行う。コロナを機に、再び医療物資の輸出入を始め、貿易に事業を転向。2021年3月に株式会社MEMEを創業、代表取締役に就任。2022年に一般社団法人日本金融教育推進協会の理事に就任。 <取材・文/梶山悠莉彩>
大学時代よりアナウンサー活動を開始。Z世代向けの化粧品をはじめとした商品の企画に携わり、コメンテーターとして活動。現在は株式会社MEMEにて学校の集金業務を効率化するアプリの運営、子ども向け金融教育アプリの運営も行う。
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