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がんで亡くなる寸前の著名人はなぜ“面やつれ”しているのか。命に繋がる筋肉の最新研究

健康長寿のためのスロースクワット

筋肉の果たす役割はこのほかにもあり、免疫力を高めたり、肥満や糖尿病の予防・改善に役立つなど、筋肉が多彩な働きをしていることが判明しています。このように多くの効能が期待されるだけに、筋トレを実践し、筋肉を保ち続けることは健康長寿へとつながるといってもいいでしょう。 私自身が行なってきた筋トレである、スロースクワットを紹介しましょう。 スロースクワットとは、私の研究室で開発したトレーニング法で、一つ一つの動作をゆっくりと行うスクワットです。 スロースクワットには、次のようなメリットがあります。 ・軽い負荷(最大筋力の30%)で、筋肉量と筋力を強化できる ・動きがゆっくりで安全性が高い ・少ない回数(1セットあたり10回以下の反復)で効果が得られる ここでは、最も負荷の少ない、「イスから立つだけスロースクワット」を取り上げます。 通常のスクワットよりも低負荷ですから、高齢者や、これまでまったく運動習慣のなかった中高年にもお勧めできます。 ・イスから立つだけスロースクワット 1:イスに浅く腰かけ、両手をひざにつきます。体を前に傾けて、息を吐きながら、ゆっくりと4秒かけて立ち上がります。立ち上がったとき、ひざを伸ばし切る寸前で止めます。 p64-1 2:ひざに手をついたまま、息を吸いながら、ゆっくりと4秒かけて腰を落としていきます。 p65-1 1~2を1~3回くりかえして、1セットとし、1日1セットを、週に2~3回行います。 回数は少な目から始め、慣れたら徐々に回数やセット数を増やしていきます。 文/五十畑 茂 【石井 直方(いしい なおかた)】 1955年、東京都出身。東京大学理学部生物学科卒業、同大学院博士課程修了。理学博士。東京大学教授、同スポーツ先端科学研究拠点長を歴任し、現在、東京大学名誉教授。専門は身体運動科学、筋生理学、トレーニング科学。筋肉研究の第一人者。学生時代からボディビルダー、パワーリフティングの選手としても活躍し、日本ボディビル選手権大会優勝・世界選手権大会第3位など輝かしい実績を誇る。少ない運動量で大きな効果を得る「スロトレ」の開発者。エクササイズと筋肉の関係から老化や健康についての明確な解説には定評があり、現在の筋トレブームの火付け役的な存在。著書に『スロトレ』(高橋書店)、『筋肉革命』(講談社)、新著『いのちのスクワット 鍛えれば筋肉は味方する』(扶桑社)など多数
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