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「走り出すと、足がもつれる」という人は要注意。ウォーキングでは維持できない“速筋線維”を鍛える技術

中高年にさしかかると、気にかかるようになるのが、足腰の衰え。加齢や運動不足から弱っていく足腰を鍛えるのには、どんな運動が適切なのか。筋肉研究の第一人者で、筋肉博士とも呼ばれる石井直方先生の新著『いのちのスクワット 鍛えれば筋肉は味方する』では、がん克服にも筋トレを活用してきた著者の実体験をもとに、筋肉強化の極意が語られている。足腰を最も効率的に強化していく方法を同書から抜粋する。

筋肉量のピークは30歳前後。以降、筋肉はしだいに減っていく

スロースクワット

※写真はイメージです

筋肉量が最も高くなるのは30歳前後。この頃をピークとして、筋肉はしだいに減りはじめます。40~50歳あたりで落ちるスピードが速くなり、この段階で年に1%のペースで筋肉が減少していきます。何もせずにいると、30歳から80歳までの50年間で、太ももの筋力はほぼ半分まで減ってしまうのです。 中には、「自分はウォーキングしているから、だいじょうぶ」、そんなふうに考えるかたもいらっしゃるでしょう。しかし、実は、筋肉を維持していくためには歩いているだけでは不十分なのです。その理由をお話しましょう。

ウォーキングでは筋肉量が維持できない。その理由とは?

私たちの筋肉は、2つのタイプの筋肉から構成されています。 1つが、持続的に小さい力を発揮する「遅筋繊維」と、もう1つが、瞬間的に大きな力を出す「速筋繊維」。日常生活でのんびり動いているときは遅筋繊維しか使っていません。速筋繊維が使われるのは、全力疾走するときや転びそうになってギュッと踏ん張るときなど。しかも、加齢によって減っていくのは主に速筋繊維なのです。 年齢とともに、速筋繊維が減っていき、筋肉が落ちていっても、私たちはなかなかそれに気づけません。普段の生活では、遅筋繊維しか使っていないからです。中高年以降になると、「走り出すと、足がもつれる」という現象が起こってきますが、これが速筋繊維の衰えてきたときのサインの1つ。 残念なことに、ウォーキングのような有酸素運動では遅筋繊維しか使われません。このため、歩くことで心肺機能は高められても、筋肉強化は期待できないのです。つまり、歩いているだけでは速筋繊維の強化にならず、しだいに筋量が減っていくことになります。 そのうえウォーキングなどの運動もしていない方の場合、不活発な生活や運動不足が続けば続くほど、遅筋繊維も弱っていき、筋肉の衰えにさらに拍車がかかっていく恐れがあります。 では、どうすれば、弱っていく筋肉(とくに速筋繊維)を鍛えられるでしょうか。
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スクワットは人間の動作の中で基本中の基本の動き
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