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2024年冬ドラマ「今からでも観たい作品」BEST5。木梨憲武主演作は4位、クドカン脚本は2位

4位『春になったら』

(フジテレビ系、制作・関西テレビ 月曜午後10時)
春になったら

番組公式HPより

 このドラマは主人公の椎名雅彦(木梨憲武)が膵臓がんを患っており、余命3ケ月と宣告されている。それでも明るい。福田靖氏による脚本が光る。  もう1人の主人公で雅彦の娘・瞳を演じている奈緒(28)と、瞳の婚約していた川上一馬役の濱田岳(35)が、明るいキャラクターを演じるのが得意なのも大きいのだろう。この2人が結婚できるのかどうかも見どころである。  奈緒は文句なしにうまい。地上波での初主演は日本テレビ『ファーストペンギン』(2022年)だが、早くも3作目。スタッフに演技力を買われているのが分かる。  そもそも、うまいとはどんな演技か? 映画監督の故・中島貞夫さんや演劇評論家の木村隆氏らに取材をしたところ、返ってきた言葉はほぼ一緒だった。 「役が実在の人物にしか見えない演技」  単純なようで、実践するのは難しい。

3位『厨房のありす』

(日本テレビ 日曜午後10時半)
厨房のありす

番組公式HPより

 門脇麦(31)が演じる主人公の八重森ありすは料理人。自閉スペクトラム症で、その特性から頑固でこだわりが強い。コミュニケーションも苦手だ。  一方でありすは豊富な化学の知識と図抜けた記憶力を生かし、自分の店「ありすのお勝手」を開いた。ここに来る客に対し、健康状態に合う料理を提供。喜ばれている。  同じ日テレの『星の金貨』(1995年)以来、ドラマがハンデのある人を描くと、どうしても不幸な人、悲劇の人にしてしまいがちだった。ハンデは個性に過ぎないという考え方の欧米ドラマとはかなり違った。  一方、『厨房のありす』はありすのハンデを個性と捉えている。だから、ありすのハンデを茶化すようなギャグまで盛り込まれている。周囲はありすの弱点をカバーするが、特別扱いはしない。  このドラマはかなり笑える。冬ドラマで屈指だろう。演劇界を中心に活躍してきた玉田真也氏の脚本が出色。門脇のコメディエンとしての才能も十分生かされている。
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価値観の変化に着眼したタイムリープ作品
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放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員

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