更新日:2024年02月13日 19:44
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高齢の母が「自転車保険を勝手に解約」。直後に起こしたトラブルの結末は…

自転車は車の下敷きに

 今回の事故では、涼子さんの母が自転車で相手方は車だった。命にかかわるようなケガではなく、通院も3か月程度で終了。相手の自賠責保険から100%の支払いとなり過失割合も出なかった。ただ、情報収集や手続きなどに莫大な時間がかかってしまったと涼子さん。 「病院の付き添いや送迎なども、結構大変でした。保険に加入していないと、相談する相手がいない。これがいちばん辛かったです。あとからわかったことですが、救急搬送された病院ではCTを撮っただけで指1本触れずに診察が終了し、診断書が出たそうです」  涼子さんの母は、自転車に乗っていて車にはねられている。そして自転車は車の下敷きになり、飛ばされる形で地面に頭を叩きつけられていた。もちろん腕や足の痛みについて伝えたというが、触診などはナシ。長袖やズボンを捲ることもなかったという。 「母と医師の説明を聞いているとき、『頭をかなり打ちつけたみたいで、目の前も暗い感じだと言っていますが大丈夫でしょうか?』と尋ねても、『ま、打ってるからね』としか言ってくれず冷たい印象を受けたため、セカンドオピニオンをすることにしたのです」

「やっぱり私、自転車を買おうと思う」

 このとき涼子さんが別の病院を受診していなければ、診断書に記載されていなかった部位についての保険は下りなかったかもしれないと相手方の保険屋さんに言われている。その後は、車の免許がなく、公共交通機関が自宅付近にない母を毎日のように病院へ送迎した。 「指1本触れられていないのに疑問を抱かない母のことも心配になりましたし、『怖くて、もう自転車には乗れない』と自転車屋さんに全損状態の自転車を引き取ってもらった数日後に『やっぱり私、自転車を買おうと思う』などと言い出すなど、呆れることが多いです」  涼子さんは、「約束を守らない、言うことも聞いてくれない高齢親のリスクに備えるには、期待しないこと。そして、先回りして保険をかけたり、何か手続きがあるときには同行したりするしかないのだと思いました」と言い、別居の親も加入できる自転車保険を検討中だ。  ただ、乗ることを禁止できない自転車や強制的に取り上げることができない免許証については、高齢の親を持つ子どもの大きな課題となっているのも事実。自分たちが高齢となったときは、できるだけ子どもや若い世代に迷惑をかけないよう行動してほしいものだ。 <文/夏川夏実>
ワクワクを求めて全国徘徊中。幽霊と宇宙人の存在に怯えながらも、都市伝説には興味津々。さまざまな分野を取材したいと考え、常にネタを探し続けるフリーライター。Twitter:@natukawanatumi5
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