更新日:2024年02月17日 15:24
スポーツ

金メダル有力日本人選手に注目!パリ五輪新競技・ブレイキンの魅力

ブレイキンの顔・Shigekixが掲げる「挑戦」の持つ意味

大会で最も注目される選手は、Shigekix選手(本名:半井重幸)。2018年ブエノスアイレスのユース五輪では銅メダルを獲得。10代から大舞台で活躍するBBOYの絶対的エースだ。パリ五輪行きの切符も日本選手で唯一獲得済み。この全日本選手権は3連覇中。今大会で4連覇なるかと期待されている。 国内外の大会で誰よりも実績を重ねるShigekixが、今大会の抱負は「挑戦」と明かす。というのも、「2連覇をした時でも、現状維持では連覇はなかった。模索しながら挑戦をし続けて、成長する姿を見せられるかだと思うから」と気を引き締める。 誰もが驚くほどストイックに準備を重ねてきたShigekixだが、そうした「挑戦」の姿勢を全面に出して高難度の技術を連発すれば、誰を相手にしても必ず勝てるわけでもない。 評価には、技術だけでなく表現力や総合性が問われるうえ、ジャッジやオーディエンスが思わず「Wow!(ワオ)」と湧いた時などのSurprise(サプライズ)という加点システムなどからなる総合得点になるからだ。 「もし自分を追い込んだままステージに立ったら、疲れている感じが踊りにもでてしまう。簡単なことではないけれど、本番はただ楽しむ。誰よりも練習して準備をして、本番はそれを乗り越えた先の喜びを感じながら踊りたい」 心技体のバランスを制し、会場を巻き込むパフォーマンスが求められるのだ。

実姉AYANEはオリンピック競技の採点方式に戸惑い

Shigekixの姉AYANE(本名:半井彩弥)は、昨年の全日本選手権で銅メダルを獲得。強化指定選手となり、この1年でも多くの国際大会に出場してきた。だが当初は、オリンピック競技としての採点基準に戸惑いを覚えたという。評価区分はかなり細かく、技術、表現、構成などの基準をさらに細分化した項目を採点した総合点によって決まる。 「勝ったかなと思ったターンで負けていたりするので、自分の実感値と出された得点にギャップを感じた。ランキングのポイントに関わる大事な一戦で、何度か感じたので気持ちが揺れ動いてしまった」 そう明かしつつも、AYANEは徐々に課題をクリアにすることもできたと続ける。 「でも後日、採点の詳細を見たら、どのポイントが足りなかったかがよくわかりました。また逆に、フィジカルの技術点が自分の強みになっていることもわかった。そこは力強いパフォーマンスという自分の強みにつながっているので、不足しがちなオリジナリティの部分も、強みを活かしながら表現できるよう重点的に磨いてきました」 全日本選手権では、大舞台に挑戦しながら成長を続けていた注目選手だけでなく、日本中のストリートや教室で成長を遂げてきたダンサーが集結する。上位選手は翌年度の強化指定選手に認定される特別な大会でもあるが、強化統括責任者のハイパフォーマンスディレクターを担う渡邊将広(Marrock)さんは言う。 「ブレイキンの見どころを3つ。1つには先入観を持たないでご覧いただき、2つ目は、選手たちが互いにバトルの前と後に示しているリスペクトのシーン、そして3つめは選手たちの個性。これらにフォーカスして見てください」 誰が強い、弱いとは言い切れない奥深さ。複雑だからこそ、ブレイキンの持つたくましさや多様性がその魅力を放つのだろう。 取材・文 松山ようこ
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2024年2月17日(土)・18日(日) NHKホールにて開催 (主催:日本ダンススポーツ連盟)
NHK総合テレビ・BSP4K・BS8Kにて
2月18日(日)午後4時~ (5時30分) 生中継
特別ゲスト:ブレイキン応援団長 岡村隆史さん
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