大賞/森ビル株式会社「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」「麻布台ヒルズ」
「産業の発展と地球環境との共生」に向けて、地球環境の保全活動などに熱心に取り組む企業や自治体、学校などを表彰する「第32回地球環境大賞」(主催:フジサンケイグループ)。2024年3月1日、第32回の受賞企業が発表された。授賞式は、4月4日に東京・元赤坂の明治記念館で行われる予定だ。
大賞には、「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」「麻布台ヒルズ」を開業した森ビル株式会社が選ばれた。豊かな緑地空間と再エネや廃棄物のための先進システムを設置したことが評価された形だ。
虎ノ門ヒルズエリア全景
同社グループは環境理念に、「Vertical Garden City=立体緑園都市」を理想とする「街づくりとその運営」を通じて、“都市と自然の共生”、“都市の脱炭素化”、“資源循環型の都市”を推進し、未来へつながる持続可能な社会の実現に貢献することを掲げている。
東京都港区の「虎ノ門ヒルズ」は「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」が2023年10月に開業し、完成形となった。同年11月には「麻布台ヒルズ」が開業。両ヒルズは1986年竣工の「アークヒルズ」以降、 都市における緑地の創造に積極的に取り組む系譜を引き継いでいる。
「虎ノ門ヒルズ」は屋上庭園や階段状のテラスなどの豊かな緑地空間に加え、生物多様性に配慮した緑や小川を創出。「麻布台ヒルズ」は約2万4,000㎡の圧倒的な量の緑を確保した。
麻布台ヒルズの低層部に広がる豊かな緑地空間
また緑地を活用したコミュニティづくりや環境教育にも取り組み、ヒートアイランド現象の緩和や生態系保全など、都市が抱える課題の解決にも寄与している。
両ヒルズの街区へ供給される電力は全て再生可能エネルギー由来であるのに加え、「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」および「麻布台ヒルズ」の入居テナントに対しては、トラッキング情報を記載した再エネ証拠書類を自動的に頒布するシステムを導入する。
廃棄物の総量削減に向けて、「麻布台ヒルズ」ではテナント・分別ごとの廃棄物量を可視化するWebシステムを構築。「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」などにも順次導入していく予定である。
経済産業大臣賞/株式会社リコー 最先端の環境配慮型複合機を発売
リコーの環境配慮型フルカラー複合機IMCシリーズ
同社・グループは1994年、循環型社会実現のコンセプトとして、持続可能な社会実現のコンセプトとして、リコーグループの領域だけでなく、その上下流を含めた製品のライフサイクル全体で環境負荷を減らしていく考え方「コメットサークル」を制定し、約30年にわたりサステナビリティ活動を継続してきた。その集大成ともいうべき最先端の環境配慮型複合機として、2023年2月に「RICOH IMC6010」はじめ7機種16モデルを発売した。
A3複合機で業界トップとなるプラスチック回収材の使用率約50%(重量比)、低融点トナーの採用による消費電力低減などで、ライフサイクル全体でのカーボンフットプリントを約27%削減(従来機比)、年間約8万8,000tのCO2削減効果などを実現し、サーキュラーエコノミー時代のものづくりを実践した。
古紙を原材料としたパルプモールド主体の新包装材を採用
今回の審査に関して、審査委員長である東北大学名誉教授、日本工学アカデミー名誉会長・阿部博之氏はこう語る。
「わが国は、持続可能な脱炭素社会の構築を見据えた長期プランにおいて遅れを取っていると言われています。
しかしながらわが国の企業は、押しなべて環境問題に強い関心を持っており、積極的に活動しています。企業価値そのものに関わるからです。その中で脱炭素の在り方を、廃棄への工夫からリサイクル、リユースに変えることは、大切な流れの一つです。また今回は、小規模企業の応募が多数見られ、それぞれの特色ある記述は高く評価されます」
地球環境問題は企業にとって避けることのできない課題。経済発展と地球環境の共生をどう実現するか、産業界の今後の取り組みに注目したい。
<取材・文/日刊SPA!取材班>