更新日:2024年03月25日 11:35
仕事

「月給は20万円、週末はタダ働きで予防接種」…男子高校生が将来なりたい職業で“3位”も、意外と寂しい医師の懐事情

③「残業時間が全てつくわけではない」

時計町中のクリニックと違い、大病院では難しい症例を抱えた患者が多いと言う。医師は手術前に、家族から同意を得る必要がある。術後も合併症を起こしたり、手術がうまくいかず再手術になったり、長期間の入院を要することが多いようだ。容態が急変すると夜間の呼び出しや、土日の回診も欠かせない。必然的に長時間労働を強いられる。一般企業なら残業代で対価を支払われるはずだが……。 「医師は時間外手当が、全てつくわけではありません。家にいる時でも、看護師から患者の電話相談が来ます。業務時間をきちんと申告している医師は、まずいないでしょう」 働き方改革により、残業時間の管理が厳しくなっている。一方で医師の数は減少し、患者は高齢化やコロナによって増え続けている。「残業時間を正直に申請したら、上司に怒られた」と語る医師は多いのだという。 病院によっては夜の当直も土日祝の回診も、手当が一切つかないところもあり、雇用契約書に明記されていないため「本人の判断で、勝手に病院に来ている」ことになっているのだとか。労基も真っ青のブラック企業である。

美容クリニックで働かないのは「プライド」があるから?

先日、韓国でも医師の数を増やすと政府が発表した。国内の医師が美容クリニックに流れてしまい、病院の勤務医が減少したことが一因とのこと。日本でも給料が高い美容クリニックを選ぶ医師が増えているという。都心の有名病院は給料が安くても人が集まるため、薄給の傾向があるからだ。一方で地方の病院では、給料が高いらしい。 美容クリニックや地方で働く方が豊かに生活できるはずだが、それらに甘んじないのは、辛く苦しい受験生時代を乗り越えた「プライド」の名残なのだろうか。薄給に耐える、真面目で愚直な彼らが報われる日が、いつしか来て欲しいものである。 <文/綾部まと>
ライター、作家。主に金融や恋愛について執筆。メガバンク法人営業・経済メディアで働いた経験から、金融女子の観点で記事を寄稿。趣味はサウナ。X(旧Twitter):@yel_ranunculus、note:@happymother
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