お金

小林製薬“紅麹ショック”で株価急落も「新NISA購入ランキング4位」の謎。投資のプロはこう見る

新NISA購入ランキング4位の謎

小林製薬

小林製薬HPより

 報道を受け、小林製薬のイメージはガタ落ちした。しかし、投資家は将来を見据える。今後の小林製薬については二つの見方があるようだ。  まずは、空売りがものすごく増えたことに象徴されるように株価は下がると考える向き。この空売り残高は日々変わるものではあるが、私がチェックした日にはそれまでの5倍から10倍も残高が報告されている。  小林製薬の大口の株式保有者を調べると個人などが多く、最近の日本の会社に散見されるような、物言う株主の名前は見られない。  また、政策保有で持ち合い関係にある会社の名前もなかった。  つまり、これだけ空売りが積み上がっている安い株価の時に、大口投資家などが、この資金潤沢な会社を買ってみようと思う存在が現れたら、そうでなくても、機関投資家が膨れ上がった空売りをひっくり返す動きに出たら、株価は一気に動く。そういう環境にあるということだ。  もうひとつ驚いたのは、大手ネット証券が発表する新NISAで個人投資家が購入したランキングに、紅麹問題で急落したのちに、初めて小林製薬が4位にランク入りしたことだ。

少数保有していた筆者は“ナンピン買い”を選択

 小林製薬は個人投資家が好む、高配当銘柄ではない。  年に2回、株主優待で5000円程度の製品を選べるというものがあるくらい。それ以外の配当利回りは、株価が大きく下がったあとでも2%程度だ。PBRは2倍、PERも18を超えている。  いわゆる指標などからはお宝銘柄では決してない。それが、人気銘柄になったということは、個人投資家は今の株価であれば、キャピタルゲインの利益があると目論んだとしか思えないのだ。  私自身は、それまで小林製薬は少数保有をしていた。株価急落でも損切りなどせずに、今回の下落でナンピン買いをした。  もちろん、健康を害しておられる方には謹んでお見舞いを申し上げるが、果たして、不透明感ばかりの紅麹問題に翻弄される小林製薬はどうなるのか? 大変興味深いところである。 ※株式投資はご自分の判断と責任に基づいておこなってください。 <文/佐藤治彦>
経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行ではデリバティブを担当。その後、企業コンサルタント、放送作家などを経て現職。著書に『つみたてよりも個別株! 新NISAこの10銘柄を買いなさい!』、『年収300万~700万円 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』、『しあわせとお金の距離について』、『安心・安全・確実な投資の教科書』など多数 twitter:@SatoHaruhiko
1
2
3
4
つみたてよりも個別株!新NISAこの10銘柄を買いなさい つみたてよりも個別株!新NISAこの10銘柄を買いなさい

ビッグチャンスは成長投資株!

おすすめ記事