更新日:2024年07月10日 18:11
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日経平均は最高値更新「プロが実際に買った&狙っている」高配当銘柄。株価の上昇も見込める

日経平均が最高値を更新、その理由とは

JPX 7月9日の東証は力強く、日経平均の終値は、4万1580円17銭。東京証券取引所に年初のような活気が戻ってきた。  3月につけた日経平均の史上最高値を6月の最終週から再び力強くトライし、株式市場は再び活況に満ちている。それも、今年の3月までの株式市場の高騰は、主に半導体関連を主軸にしたものであったのだが、この6月以降のものは、それ以外の幅広い銘柄にも買いが入った。本当の全面高である。そのため、やっとTOPIXも、1989年12月の史上最高値を更新した。  アメリカはエヌビディアを中心とするAI関連から、ナスダックを中心に史上最高値をつけているが、日本では3月以降は低調だった半導体関連だけでなく、グロース株まで買われるようになったというわけだ。  きっかけは6月まで売り越してきた海外勢が再び日本株を買い越していることだ。なぜ彼らが戻ってきたか。  その理由については、さまざまな憶測が流れているが、バイデン大統領とトランブ前大統領の第1回テレビ討論会のあとで、ドナルド・トランプとバイデンとの支持率の差が拡がり、トランプ政権の可能性が高まったこと。  となると、中国との貿易摩擦が再び激化する可能性があるということから、中国株投資へ再び見直しが入ったというのが有力だ。  中国はそれでなくても、EUから今後の輸出品の主軸としようとしていたEV車に対して、中国政府の不当な補助金によって作られた低価格車と判断され、大幅な追加関税をかけられた。中国は、欧米資本主義諸国とロシアやグローバルサウスなどの間で賢く立ち回っているように自らは思っているかもしれないが、欧米諸国との溝はますます深まっている。

英仏、二つの国政選挙が無事に終結

 また、この5月末から6月にかけては、主要国に政治的な不透明感が増し、マーケットを覆った。すなわち、英国、フランスで突如実施されることになった二つの国政選挙である。それが無事に終わり、これらの不確定要素が消えただけでなく、心配されたフランスでの反EUの極右政権の台頭もなんとか抑えることができたことも大きい。  第1回投票で極右の国民連合(旧国民戦線)がフランス政治の中枢を奪うのではないか。それによって、イギリスの離脱のあと、ドイツとフランスの両国で何とか保っている欧州連合の絆が空中分解する可能性が心配されたのだ。  この懸念がひとまず収まっただけでなく、イギリスで政権を取った労働党政権が掲げる経済政策の柱の一つは、EUとの関係修復である。  また、欧米強硬派だったライシ前大統領の突然のヘリコプター墜落事故による死去で行われることになった、イランの大統領選挙で穏健派が勝利したことも、世界への安定感を増す。もちろんウクライナとガザ情勢はあるし、何といっても4か月後の秋のアメリカの大統領選挙もある。しかし、フランス、イギリス、そして、イランでの不確定要素が収まったことは大きい。

『つみたてよりも個別株!新NISA 次に買うべき10銘柄といつ売るべきかを教えます!』(扶桑社ムック)

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日本の株式市場、夏場はどうなる?
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経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行ではデリバティブを担当。その後、企業コンサルタント、放送作家などを経て現職。著書に『つみたてよりも個別株! 新NISAこの10銘柄を買いなさい!』、『年収300万~700万円 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』、『しあわせとお金の距離について』、『安心・安全・確実な投資の教科書』など多数 twitter:@SatoHaruhiko

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