●ザ・マネーゲーム
(ソフエル 1988年)
彼女との電話ではたかられてばかり!?『ザ・マネーゲーム』
『株式必勝学』に次いでファミコンの株ゲーで有名だったのが『ザ・マネーゲーム』。こちらは
100万円を10億円にするというめちゃくちゃ高いハードルが設けられていました。資産だけでなく、
高級車を買い、彼女と結婚して立派な家に引っ越して、生活水準を上げることもクリアの条件となります。
バブル期だからか、この彼女がクセ者。「わたし、いずへどらいぶに つれてってほしいな(はーと) でも3万円かかるの…」「こんや ろっぽんぎの だんすぱーてぃに つれてってほしいの(はーと) でも20万円かかるの…」などと、電話のたびにおねだりしてきます(笑)。思えば、メッシーくんやアッシーくんなど、彼女でもない女性に男性が貢ぐのが当たり前だった時代。ちゃんと結婚してくれるだけでもマシかもしれません。
この『ザ・マネーゲーム』の魅力は、企業がパロディ名になっていること。イトーヨーカドーならぬ「さとうむいかどう」、旭硝子ならぬ「ゆうひがらす」など、もとがどんな企業だったかを連想する面白さがあります。
しかも、パロディ会社が載ったおまけの株式四季報がソフトについてくるこだわりぶり。たとえば「三天堂」の社長は「河内正」氏。トランプ類からテレビゲームに進出し、
ゲームソフト『スーパーマリコシスターズ』を発売しています(笑)。
四季報には、「阿蘇通」が「人工知能を内蔵した携帯用通訳マシン」を開発するなど、
ちょっとした未来予測のようなネタも多く、SF感覚で楽しめます。『ザ・マネーゲーム』のカセットを買う場合は、ぜひこの四季報が同梱されているものをお選び下さい。
(ヘクト 1989年)
師匠からの格言もありがたい!?『株式道場』
『株式道場』は、ヘクトから1989年に発売されたタイトル。ヘクトといえば『
エモやんの10倍プロ野球 セリーグ編』『
イーハトーヴォ物語』あたりが有名でしょうか。これまで紹介した2本の株ゲームに比べて、一番ストイックなのが本作。「初級」から「プロ級」まで5つのコースが用意され、それぞれ
1年半で1000万円を1200万円にする、
6ヶ月で5000万円を9000万円にするといったクリア条件が課せられています。
ライフシミュレーションのようなお遊びはなく、ひたすら株価の上がり下がりを追っていくだけ。といっても、『株式道場』は
現実の株価の動きをトレースしているので、リアルであることは確か。チャートの形を見極めて的確に売買を行わないとクリアするのは至難の技です。
プレイ中は「Aけんせつ」「Bせんい」「Cしょくひん」と名前が伏せられてますが、コースをクリアすると企業名が答え合わせとして出てくるという仕掛けになっています。バブル期の荒波を乗り越えてきた強者なら、「
ああ、この株の動きはあの時期のこの企業か!」とピンとくるかもしれません。
以上、ファミコンの株ゲーム3選でした。令和バブルともささやかれ始めた昨今、イマジニアから『株式必勝学III』が出てもいいのではないでしょうか(笑)。<文/卯月鮎>
ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲーム紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。雑誌連載をまとめた著作『
はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)はゲーム実況の先駆けという声も