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「血が出てるんだぞ!」病院に徒歩で現れた“クレーマー老人”に振り回された若手医師の嘆き――仰天ニュース・困った高齢者トップ3

慌ただしくなってきた外来

 そうこうしている間に、立て続けに2台の救急車が到着。どちらもかなりの緊急性がある患者であったため、智樹さんは老人の対応を切り上げて急患の対応に回ったそうです。 「ただ、急患の処置中も廊下から男性の声が絶え間なく聞こえてきたんですよ。『出血しているのに放置か!』『高齢者をバカにしているのか!』『ワシのほうが先に来ているのになぜだ!』と、そんな支離滅裂な言動が、真夜中の静かな病院の廊下に響いていたのを覚えています」  幸い、騒がしい老人の行動を見かねて他の先輩当直医も駆けつけてきてくれ、智樹さんの代わりに応対してくれたとのこと。 「男性はその後もしばらくは暴れていた様子だったんですが、だんだん叫び声は聞こえなくなってきたので、なんとか集中して急患の対応を終えることができたんです

ふてくされて帰って行った老人

老人 急患の処置後、智樹さんは老人の応対をしてくれた先輩医師に詳細を尋ねたといいます。 「先輩が『診療は可能だが、紹介状なしの場合の追加請求額が発生する話をし、それでもよいのであれば重症者順に処置を行う。ただあなたの場合はとても軽度なのでいつになるかは分からない』と伝えたら、その老人はふてくされて帰って行ったそうなんです。なるほどな、と思いました。普通に診察の流れを説明しただけなんですよ。ぼくには余裕がまだないんですよね」  医者とは学ぶべきものが多いと、あらためて感じた智樹さん。たった一晩の夜勤で大切なことを学んだと言います。 「実は僕にもあの老人くらいの祖父がいるんですよ。もし祖父があんな風に病院へ訪れて、なかなか相手にされなくて放置されていたらと思うと……。今思うと相当ふびんだったでしょうね。医者って患者さんを救うためのお仕事なんだから、一人でも多くの人を助けないとだめですね」  智樹さんはその教訓を生かして、診察の優先度や診療費用などの基本的なことを記載した案内板を、緊急外来の入り口に設置したそうです。 <TEXT/ベルクちゃん>
愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
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