日本ダービーで注目すべき「皐月賞未出走馬」。魅力は“トップスピードの持続力”
いよいよ今週は日本ダービー。「ダービー馬のオーナーになることは、一国の宰相になることより難しい」 という言葉もあるくらい、ダービーというのはホースマンにとって特別なレースです。また、街を歩いていても日本ダービーの広告が見られるなど、普段のG1とは違う雰囲気を感じます。
特に今年の日本ダービーに出走する3歳世代は非常にレベルが高いと考えています。その根拠となっているのが皐月賞で、今年は時計が速い馬場状態だったとはいえ、勝ちタイムは1分57秒1を記録。これは2017年にアルアインが記録した1分57秒8を0.7秒も更新する皐月賞レコードであり、中山競馬場芝2000mのコースレコードにもあたります。
先週のオークスもクラシック初戦の桜花賞組が上位を独占したように、日本ダービーも皐月賞組が上位を占めるのか? 今回の記事では「日本ダービーの注目馬3頭」を解説しますので、ぜひ参考にしていただけますと嬉しいです。
注目馬1頭目はやはり、皐月賞馬のジャスティンミラノでしょう。皐月賞は超ハイペースを4コーナー4番手の競馬。先行して好走したのが同馬とジャンタルマンタルしかおらず、後者がNHKマイルカップを制した点からも強い競馬だったのは間違いありません。
さらにジャスティンミラノは新馬、共同通信杯の2戦も非常にハイレベル。新馬戦では歴代遡っても12件しかない2歳戦の芝2000mで、上がり4ハロン45.9秒以下を記録したレースを勝利しています。その12頭の中でレースの上がり2ハロンが速い順に並べると、1位がワグネリアンで2位がディープインパクト、そして3位がシルバーステートとジャスティンミラノとなります。
日本ダービーを勝った2頭に次ぎ、福永調教師が「規格外のエンジン」を搭載していたと評するシルバーステートと同水準という事を考えれば、いかにジャスティンミラノの資質が高いかが理解できます。
また、共同通信杯はレースの上がり2ハロンは21.7秒と究極の瞬発力勝負を制しました。トップスピード性能が問われる東京競馬場が舞台の同レースは、上がりが速いほどレベルが高く、歴代の共同通信杯でレースの上がり2ハロンが22.9秒以下となったのは12件しかありません。
また、2~3歳時の東京競馬場芝1800mで上がり4ハロン45.9秒以下かつ自身の上がり3ハロン33.2秒以下に限定するとこれまで7頭が該当し、イクイノックスやコントレイルなど5頭がG1を制覇。残り2頭もG1で連対を果たしています。
1984年のグレード制導入後、無敗で皐月賞馬となったのは10頭。その内、1984年のシンボリルドルフ、1991年のトウカイテイオー、1992年のミホノブルボン、2005年のディープインパクト、2020年のコントレイルが無敗のまま日本ダービーも勝利しています。世代最強馬としてダービーの称号は譲れません。
1984年のグレード制導入以降、日本ダービーに牝馬が参戦したのはこれまで4回。2007年にウオッカが1着となりましたが、残り3頭は全て人気以下の着順に敗れています。やはり牝馬にとって2400mは非常にタフな舞台であり、難しいチャレンジであることは間違いありません。しかし、レガレイラはウオッカ以来の偉業を成し遂げられるだけの資質を有していると考えています。
新馬戦は洋芝で直線が短く速い上がりを出しづらい函館競馬場でしたが、上がり2ハロン22.9秒のトップスピード勝負を差し切り。函館競馬場芝1800m以上で上がり2ハロンが22.9秒以下となったのは歴代でも33件しか少なく、その中で上がり3ハロン34.4秒以下を記録した勝利した馬は15頭しかいません。そして、2歳馬で唯一該当するのがレガレイラなのです。
さらに2歳の中距離路線ナンバー1を決めるホープフルSでは、牝馬ながら果敢に挑戦して見事勝利。デビューからスローペースしか経験していないにも関わらず、G1昇格後2番目に速い前半5ハロン60.0秒のハイペースに難なく対応。不利と言われる牡馬相手の中距離戦で勝利する偉業を成し遂げました。
皐月賞は急遽の乗り替わりもあり、6着に敗れてしまいましたが上がり3ハロンはメンバー最速となる33.9秒を記録。ジャスティンミラノとも0.5秒差ならまだ見限れません。
世代最強は譲れない!/ジャスティンミラノ
ウオッカ以来の偉業達成なるか!?/レガレイラ
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各種メディアで活躍中の競馬予想家。新刊『安井式上がりXハロン攻略法(秀和システム)』が11月15日に発売された。『競走馬の適性を5つに分けて激走を見抜く! 脚質ギアファイブ(ガイドワークス)』『超穴馬の激走を見抜く! 追走力必勝法(秀和システム)』、『安井式ラップキャラ(ベストセラーズ)』など多数の書籍を執筆。
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