ニュース

小学校校長が“9歳女児”に恋愛感情を…。元教員の性犯罪裁判で起きた“異様な光景”の正体

他の児童へ好意を抱いたことはあったのか

 次に検察側からも質問が行われた。検察側から「犯行をしないようにするには、どうすれば良かった?」という質問に、「他の子供と同じように外で遊んだりすれば良かったと思っています。自分の気持ちが高まって、このようになってしまいました」と後悔の念を述べたとのこと。もっとも、長い教職生活の中で他にも児童へ好意を抱いたことはあるかという問いには、Aは「今回が初めてです」と終始否定したという。  そして4月下旬の第3回公判で、検察側は懲役2年を求刑。5月24日の判決公判では、懲役1年6ヶ月執行猶予3年が言い渡された。  倉知裁判官は、「被害児童の今後の心身の発育に影響を与えることも強く懸念される」と指摘し刑事責任は重大としつつも、反省の態度を示していることや、すでに懲戒免職処分を受けていることなどを考慮して執行猶予付きの判決とした。

「傍聴席問題」について

 この裁判では、第1回公判から判決まで、約50席の中規模の法廷が使用されていたが、それでも常に満席状態。もっとも、「性犯罪」の裁判で開廷前から傍聴希望者が殺到して、傍聴席が満席となってしまうことは珍しくない。  筆者が通う東京地裁でも、性犯罪裁判は開廷前から傍聴希望者で列を作っていることが当たり前なのだ。著名人の裁判や有名事件では抽選式の「傍聴券」が交付されるが、今回のような一般事件のほとんどは「先着順」となり、傍聴希望者は法廷前で開廷まで並んでなければいけない。  だが、今回の裁判の法廷前は、裁判所に足しげく通う傍聴人でも感じる「異様さ」があったとのこと。裁判記事を執筆しているフリーライターB氏は、偶然にもこの法廷前を通り過ぎてある確信を持ったという。当時の様子について、筆者の取材に対してこう語った。 「2月下旬の第1回公判では、1時間以上前から法廷前に列ができていました。開廷50分前には定員超過となってしまい、傍聴席に座れないのを分かっていながら誰一人として列から離れようとしませんでした。また、全員がスーツ姿で、一言も会話せず、関係者同士で挨拶する光景もありませんでした」  その異様な「スーツ集団」こそ、そのほとんどが横浜市教育委員会の関係者だったのだ。
裁判

市教委の学校教育事務所長が関係先に通知した出張を命じる内部文書。傍聴人の閉め出す目的が記載されている

 第1回公判の約3か月後の5月21日、市教委は一般人を傍聴させまいと職員総出で「傍聴妨害」をしていたことを明かし、「一般の方の傍聴の機会が損なわれたことについて、大変申し訳なく思っています」と謝罪した。
次のページ
“傍聴人の閉め出し作戦”のきっかけとなった文書
1
2
3
2002年生まれ、都内某私立大に在籍中の現役学生。趣味は御神輿を担ぐこと。高校生の頃から裁判傍聴にハマり、傍聴歴6年、傍聴総数900件以上。有名事件から万引き事件、民事裁判など幅広く傍聴する雑食系マニア。その他、裁判記録の閲覧や行政文書の開示請求も行っている。
X(旧ツイッター):@Gakuse_Bocho

記事一覧へ
おすすめ記事