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「ワンルームマンション投資」に黄色信号。“複合的な要因”でついにブームが終焉か

 

大手ワンルームマンション投資会社の業績に“異変”

 区分マンションの開発、販売の最大手がプレサンスコーポレーション。2023年9月期の売上高は前期比11.1%増の1613億円、営業利益は同23.6%増の255億円でした。この会社は原価率が73.9%と高いにも関わらず、営業利益率が15.8%もある驚異的な会社です。  2023年の全国マンション販売数において、プレサンスは三井不動産レジデンシャルに次ぐ2位を獲得。野村不動産、住友不動産をも追い越しているのです。近畿圏においてはトップに立っています。  しかし、2024年9月期上半期の売上高は、前年同期間比3.2%減の828億円とまさかの減収。通期の売上高を前期比3.8%増の1673億円と予想しています。業績に急ブレーキがかかりました。上半期は、主力のワンルームマンションの販売戸数が前年を割り込んでいます。  ガーラマンションシリーズで知られるFJネクストホールディングスも今期は苦戦中。2024年3月期の売上高は前期比18.6%増の1004億円、営業利益は同14.3%増の94億円と大躍進を遂げたものの、2025年3月期の売上高は前期比2.6%増の1030億円、営業利益は同20.5%減の75億円を予想。売上高は微増、営業減益を見込んでいるのです。

供給量が減少する投資用マンション

 不動産経済研究所によると、2023年上期の首都圏投資用マンションの供給数は2820戸(「2023年上期及び2022年年間の首都圏投資用マンション市場動向」)。前年同期間と比較して33.3%も減少しました。平均価格は3182万円で、55万円(1.7%)下落しています。  野村不動産が投資用不動産サイトに登録している会員への2023年の調査では、購入したい投資用物件の種類で「ワンルーム区分マンション」と答えた人の割合は20.4%。前年から5.9ポイント下がりました。1棟マンションや1棟アパート、戸建てなど数ある種別の中で、これほど下がっているものはありません。  物件価格が過剰なまでに高騰してしまったことや、金融緩和の出口が見えてきたことで金利の上昇を警戒した買い控えなど、複合的な要因によってワンルームマンション投資が下火になってきたのかもしれません。  また、住宅ローンを使う巧妙な手口で投資用物件の購入を促すなど、悪徳事業者がワンルームマンション投資業界の悪評を招いてしまった面もあります。  急成長してきたデベロッパーが転換点を迎えていると言えるでしょう。 <TEXT/不破聡>
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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