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山手線で妊娠中に気づいた“妊婦キーホルダー”の現実「席を譲ってくれる人は“ほぼ皆無”」

「もう他人に期待するのはやめよう」と思った

吉沢さりぃ また別の日、今度は恵比寿から新宿に行こうと山手線に乗ったときだった。  18時30分ぐらいでサラリーマンの帰宅の時間帯と重なって混んでいた。この頃はもう臨月だったが、無理をしない程度に働いていた。  すでに妊婦キーホルダーをつけていても席を譲ってもらえないことを知っていた筆者だったが、この日は本当に疲れていて「まじで座りたい!」と、混み合っている車内でなんとか優先席の前に立った。  50代と思しきマダム2人。「あぁ、よかった、この2人は譲ってくれるだろう」と。 「いつでも座りまっせ!」と意気込んでいた筆者だったが、マダムたちの討論会は途切れないまま原宿に着いた。マダムとは何度か目があったし、妊婦キーホルダーも見ていたはずだが、譲ってくれなかった。それどころか「人間は結局、思いやりが大事なのよ」などと語っていたので愕然とした。  こんな目の前に妊娠後期の妊婦がいるのに、ガン無視して思いやりについて話すって、正気か?  心の中でマダムと呼んでいたが、代々木に着く頃には彼女たちのことを「非思いやりオバはん」と名づけ、あまりの疲労から「もう日本は終わりだな」と思った。非思いやりオバはんとの出会いにより「もう他人に期待するのはやめよう」と、妊婦キーホルダーはつけているものの、基本的には席は譲ってもらえないと考えるようになった。

譲ってくれる人は救世主

 さらに別の日、半ば諦めながらも再びちょい混みの山手線に乗ったときのこと。  普通席の前の手すりを持ち、あまりの眠さに目を閉じていた筆者だったが、少し離れた席に座っていた大学生らしき男性が「気がつかなくてすみません!座ってください!」と立ち上がってくれたのだ。そこそこ混んでいる車内で、距離のあるところから「どうぞ!」と声をかけるのは、なかなか勇気がいることだと思って感心した。目的の駅まですぐそこだったが、ありがたく座らせてもらった。身重のからだとしては、1分だけでも座れたらラクさがぜんぜん違う。まさに救世主。  この譲ってくれた彼は顔もイケメンで「顔のいい人は性格もいいのね……」と感じたと同時に、生まれてくる我が子も男の子だとわかっていたので「こういう子になって欲しい(顔も含め)」と心から思った。  それからも何回か電車に乗ったが、譲ってくれるのは外見のいい日本人か、外国人ばかりだった。中には「妊婦が外出るんじゃねえよ!」と小声で言ってくるオヤジまでいて「日本はもう終わりだ……」と再度思った。
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自分が妊娠するまで気がつかなかった
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ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。X(旧Twitter):@sally_y0720

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