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“毎年20億円”税金を投入する札幌ドーム。「収支」や「命名権」よりも「十分な説明を果たすべき」問題が

肝心の「稼働率」が目標を大きく下回る状況に…

 次に地域経済の活性化という点ではどうでしょうか。その柱となるのは、はやり大型のイベント、コンサートでしょう。数万人の観客を集めることができれば、周辺の飲食店や宿泊施設、公共交通機関、設営を行う人員などへの経済効果があるためです。  しかし、イベント来場者数は低調そのもの。2024年3月期は99万7000人。前期と比較して4割も減少しています。日ハムの試合がわずか2日(前期は63日)と、減少することそのものは織り込み済みでした。しかし、もともとの計画では103万人の目標を掲げていました。計画に対しても3.8%(3万9000人)少ないという結果でした。  稼働率も冴えません。2024年3月期は62.6%。「管理運営業務計画書」では72.1%という計画を立てていました。10ポイントもの開きがあるのです。暗幕で中規模イベントにも対応する体制を整え、稼働率を上げるという取り組みは明らかに失敗しています。  札幌ドームは赤字を出していることや、収支改善のための命名権に応募がないことが批判されがち。しかし、そうした問題は本筋ではありません。施設が当初の目的に沿って運営されているのか。その成果が出ているのか。市民のためになっているのかという視点で考えるべきでしょう。  少なくとも経営陣は、アマチュアスポーツ大会の開催日数が少ないことや、練習場などの利用者数が増えていないことに対する十分な説明を果たすべき。  民間への売却や取り壊しを前提とした議論よりも先に、市民生活に資する体制を構築するため、経営体制の見直しに踏み込むタイミングにきているのではないでしょうか。 <TEXT/不破聡>
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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