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耳元にライターを近づけて「殺すぞ」…50代支店長の日常的なパワハラ。“民間の相談窓口”に集まる悲痛な声とは

両者の言い分に食い違いが生じた

 ところが9月に再通報があった。その後のことについて前出の三谷氏が次のように語る。 「被害者の女性社員は会社の対応に納得できず、そのため改善できているのかどうかを常に確認しようと、毎日見た回数を記録し、それを会社に提出したいと私たちに再通報をしたのです。一方、男性は『女性を見ていない』と通報内容を否定。両者の言い分に食い違いが生じたのですが、10月に女性の上司が女性と話し合いをしたことで、ようやく問題が解決したそうです」  上司は男性の目線が届かない場所に女性のデスクを移動させた。さらに上司から「部署内の社員が全員で守るから」という言葉に女性はやっと安堵したという。

事例3:ハラスメントハラスメントされた50代所長

日本公益通報サービスの相談員

日本公益通報サービスのハラスメント相談員の女性

 業務をスムーズに行うために、上司が指導したり、注意したりするなどの行為をハラスメントと指摘し、自分の権利を過剰に主張する「ハラスメントハラスメント(ハラハラ)」が最近では顕著になっているという。  2024年1月、学童教育関連会社のアルバイトに従事する20代前半の女性から、所長(50代男性)から怒鳴られたり、高圧的な態度を取られたりするなどの通報があった。  学童教育関連会社のコンプライアンス部が調査したところ、パワハラの事実はなく、所長は適切な態度で業務を推進していたことがわかった。通報者は所長の対応を大げさに捉えた結果、ハラスメント被害を感じたという。  最近増加しているハラスメントハラスメント。前出の三谷氏は次のように指摘する。 「実際はハラスメントではないのに、ハラスメントと思い込んで、会話を録音する人もいます。また思い込みが過ぎて『今後一切、私に対する指導をやめてください』と、上からの指示を下に伝えることを拒否する人や、逆にハラハラと勘違いしている社員に指導できない管理職の悩みも増えています」
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3か月に一度ハラスメント研修を行う
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コラムニスト、作家。2万人のワーキングウーマン取材をもとに恋愛&婚活&結婚をテーマに執筆。難病克服後に医療ライターとしても活動。ブログ「恋するブログ☆~恋、のような気分で♪

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