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俳優・藤竜也82歳、豊かな生活よりも“気持ちの贅沢”「お腹を空かせてきたから仕事に飽きてない」

面白い脚本であれば短編でも関係ない

藤竜也さん――本作の近浦監督とは、短編を含めて3度目のお仕事とのことですが、近浦監督は本作が『コンプリシティ/優しい共犯』に続く2本目の商業映画。藤さんには、以前から肩書を全く気にしない印象があります。 藤:私は面白い脚本であれば一緒にお仕事をしたいと思うし、近浦さんの作品を信頼していますから。尊敬しています。インディペンデントできちんと映画を作れられていて、しかも海外に挑戦している。僕のように昔からやっている俳優にしてみると、国内の前に海外に行って、何回も上映されて、そのあとに初めて日本の皆さまにご挨拶をするなんていうのは驚きです。素晴らしいと思う。

お腹を空かせながらやってきたから今も仕事に飽きてない

大いなる不在

『大いなる不在』(C) 2023 クレイテプス

――藤さんは現在82歳ですが、昨年は主演映画『それいけ!ゲートボールさくら組』と『高野豆腐店の春』が公開。今年もこの『大いなる不在』が公開です。最後に、長年ご活躍できるモチベーションの源を教えてください。 藤:プロですから、作品にはたくさん出たほうが生活は楽ですけど、私はそうじゃないんです。でもその代償として「飽きない」という気持ちの贅沢ができた。サラリーマンのみなさんや個人営業のみなさんは、1年中働いているわけですよね。私どものような自由業は、そうではないので、「今、オレの商売、なんだっけ。オレ、俳優なんだ」という感じになることもあるんです。  でもそれは俳優にとって、私にとってはいいことなんです。それだけお腹を空かしているわけなので。だから役をいただいたときには、もう「やっほー!」って感じで、すごいエネルギーと食欲で役に向かうんですよ。 ――日々の生活のなかで、俳優としてのアンテナを張り巡らしている、なにか意識していることはありますか? 藤:きちんと生きることです。市井の人間として毎日をきちんと生きること。それも私の職業には反映されてきますから。 <取材・文・撮影/望月ふみ>
ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi
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【公開情報】
大いなる不在』はテアトル新宿、TOHOシネマズ シャンテほかにて全国順次公開中
(C) 2023 クレイテプス
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