お金

8割の顧客を黒字化する税理士が実践している「数字に強くなる6つの習慣」

③利益は最初に確保する

 必要経費がかさむせいで、利益がなかなか手元に残らない……。鈴木さんによると、そう嘆く経営者は少なくないという。 「このような足し算方式の経営思考をいつまでも続けていては利益が安定することはなく、それどころか、いずれ会社を大きなリスクにさらすことにつながりかねません。  常に安定した利益を生むためにも、売上の数字が出た時点で、まずその10%を経常利益として確保すると宣言してください。  逆転の発想です。すると、残りの90%に収まるようにするにはどうすればよいか、という逆算思考が働くようになります。  ダイエットでも『痩せたらいいなあ』と漠然と考えるのではなく、『体重70kgから65kgまで痩せる』と決めて、周りに宣言する。そのためには食事、運動はどんなことをするか、どうやって痩せるかを計画して実行していく。  経営でも同じように、最初から『ここまでを利益にする』と宣言してから経費をコントロールすると、利益体質の会社に生まれ変わります」(鈴木さん)  家計でも、貯金をしたいなら収入から先に貯金額を確保して、残りのお金でやり繰りする「先取り貯蓄」というやり方がよく知られている。会社も家計も同じく、先に確保するのが大事なようだ。

④KPIを設定して目標を“見える化”する

 KPI(Key Performance Indicator)は「重要業績評価指標」と訳し、業績の管理・評価には欠かせない数字だ。 「会社の業績目標を数値に置き換えたものがKPIです。KPIによる可視化の基本的な流れは、まず会社の数字をもとに課題を抽出し、目標を数値で設定するところから始めます。  飲食店を例にとると、客単価やリピート率、新規顧客の数などのデータをもとに、客単価の向上、リピート率の改善、新規顧客の獲得などの目標数値を、それぞれ具体的な数字で計画します。  たとえば、『月間の客単価を6,000円に上げる』『3か月に1回の来店を、2か月に1回に増やす』『粗利を現在の2,000万円から3,000万円に増加』といったイメージです。  この作業を行うことによって、その時点での経営課題が明らかになるとともに、全従業員がKPIから逆算した具体的な目標を持つことができるようになります」(鈴木さん)  業績目標を数値で“見える化”することこそが、KPIの本質だというのだ。
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⑤数字を「線」で追って“変化”をつかむ
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Deep Accounting 「未来予測会計」の数字が経営に革命をもたらす! Deep Accounting 「未来予測会計」の数字が経営に革命をもたらす!

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