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8割の顧客を黒字化する税理士が実践している「数字に強くなる6つの習慣」

⑤数字を「線」で追って“変化”をつかむ

 数字を眺める際に大切なのは、数字を「点」ではなく、「線」で見ること、と鈴木さんはアドバイスする。 「点とは、ある瞬間のピンポイントで見る数字。線とは、一定期間の変化とともに見る数字です。たとえば先月と今月、昨年同月から現在までといったように、数字がどう変わっていったか、その推移を見るということです。  試算表や決算書の数字は、その時点の数字であって、どういう経緯でそうなったのかまではわかりませんよね。  たとえば、期末に現金が1,000万円あったとしても、実は期首には2,000万円あったのに大幅に減ったのか、500万円から増えたのかわかりません。増えたのか、減ったのか、それは『線』で追わない限り見えてきません。  単に年度末の決算書を見るだけでは、経営の全体像や具体的な動きを理解することはできません。定期的に財務状況をチェックすることで初めて、会社のパフォーマンスの変動、問題の早期発見、早期対策など、より詳細かつ効果的な経営判断が可能になります。  ちなみに、どうしても『額』に目が行きがちですが、そこにとらわれすぎると全体が見えづらくなってしまいます。数字を追うときは必ず『率』、すなわち『増減率』とセットで把握しておきましょう」(鈴木さん)

⑥月に一度は会計のプロと雑談する

 鈴木さんは「会計用語を知らなくても気にしなくていい」とアドバイスする。 「経営者の方々にとって、会計は『数字が読めない』とか『会計に出てくる専門用語がよくわからない』といった負い目からか、必要以上に敷居を高く感じている人が多い気がします。大事なのは数字の読み方や専門用語よりも、『大きな視点で会社を捉えること』です。  まずは会計事務所の担当者など、会計のプロフェッショナルと定期的に会って話す機会を設けてください。オンライン会議ももちろん有効です。  その際、打ち合わせのテーマを決めたり、会議に成果を求めたりなど、必要以上に堅苦しく考える必要はありません。『リラックスして雑談を楽しもう』くらいの気持ちでちょうどいいでしょう」(鈴木さん)  ただし、経営者も含めて、会計事務所や会計のプロと話す機会がない人も多いはず。 「その場合は、書籍を読んだり、YouTubeを見るのもいいでしょう。近年はYouTubeでわかりやすく解説している税理士も増えています。  まずは会社の財務状況や計画を数字ベースで把握し、経営者は自分の考えや会社の将来的なビジョンを明確に伝え、社員の理解を深めるように努めてください。  そうすれば、社員は経営者の考えや会社の状況を理解しやすくなりますし、社内の意思決定や計画立案がスムーズに進むようになります。そして何より、共有された数字が社員一人ひとりのなかで意味を持ち、生きた数字となってそれぞれの場所で成果を生んでくれるはずです」(鈴木さん)  以上の6つの習慣を続ければ、数字に強くなり、「会計思考」が身につくはずだ。 鈴木克欣(すずき・かつよし) 税理士。税理士法人SHIP 代表社員税理士(愛知県豊橋市) 株式会社SHIP 代表取締役(東京都渋谷区) 1970年8月31日生まれ。立命館大学経営学部卒業・名古屋商科大学大学院修了(経営学修士)・京都大学上級経営会計専門家(EMBA)プログラム修了。 愛知県を中心に全国を対応エリアとしているMBA 税理士。1976年から続く鈴木今朝由税理士事務所の二代目として20年以上、月次決算・経営計画による中小企業支援を行う。 これまで延べ1,000社以上の経営計画を作成。本業の税務会計業務を遂行する一方、最新の経営支援クラウド(bixid)を駆使した伴走コンサルで数々の成功実績をあげる。その手法を日本全国の同志の税理士に広め、新時代の企業業績に貢献する新しい会計人を創る会計業界のエバンジェリスト。 最新刊『Deep Accounting 「未来予測会計」の数字が経営に革命をもたらす!』(著・鈴木克欣、岡本辰徳 サンライズパブリッシング)が発売中
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