更新日:2024年07月25日 15:13
ライフ

生活保護を受給する21歳男性。「親の顔は知らない」児童養護施設での暮らし、路上生活…語った“これまでの人生”

若者の「見えない貧困」が広がっている。旧来型のネカフェを根城にするケースだけでなく、「限界シェアハウス」が増えたことで路上生活をせずともその日暮らしを続けていけるからだ。人手不足で就職市場は空前の売り手市場と言われているが、若い人材が引手数多な一方で、貧困から抜け出せない若者も多い。 そして、彼らの多くは“親ガチャ”を理由に世代を超えた負の連鎖を断ち切れずにいる……。そんな過酷な環境で暮らす若者を徹底取材。「忘れ去られた若者たち」にスポットを当てる。

21歳にして生活保護を受給

[親ガチャ貧困]の実態

明日ケースワーカーとハローワークに行く予定。「今は就職より恋愛のほうが気がかり。でも結婚願望はない。家族を知らないからかも」

森翔太さん(仮名・21歳) 【現在の状況】生活保護受給 【主な収入源】生活保護費のみ 【現在の月収】約13万円 首都圏で8畳ワンルームのアパートに住む森翔太さん(仮名・21歳)は、若くして生活保護費13万円を受給している。 「生活保護は、ぶっちゃけラク。ここの家賃は5万2000円なので、だいたい月8万円弱で生活しています。仕事はもう1年くらいしてません」 森さんには、複雑な生い立ちがある。児童養護施設で育ったため親の顔は知らない。 「本当は大学に行きたかったんです。でも施設は18歳で出なきゃいけない。生活費と学費すべてを賄うのは現実的に厳しくて断念しました」 そう言って彼は視線を落とした。施設を出てからは職業訓練校に入学するも、半年で退学。その後は、飲食店や家具組み立てなどのアルバイトに精を出したという。 「一番働いていた2年前は、31日連勤で月収36万円のときもあったんです。人ってここまで落ちるんですね……」

ストレスからアイドルの推し活にハマり…

ストレス発散からハマったのがアイドルの推し活だ。のめり込んだことで、家賃はおろか、水道光熱費までも滞納し、1年前にアパートを無断退去。半年間の路上生活を余儀なくされたのち、生活保護に流れ着いた。 「最初は別の地域で受給してましたが、申請を手伝ってくれた業者が貧困ビジネスだったみたいで、利用料を引かれて月1万~2万円しか手元に残らなかった。当然、最初は不満に思っていましたが、一日中ネットを見て、3食出る生活に慣れるとどうでもよくなってきて……。そんな自分が怖くなって、直接契約できる賃貸を探し始めたんです」
[親ガチャ貧困]の実態

森さんはオーバードーズで現実逃避をしてしまうこともしばしば。冷蔵庫の上には、薬が散らかっていた

だが、金銭管理は苦手なまま。月の後半には保護費は残っておらず、友達にカネを借りては、それを翌月返すという自転車操業状態にある。 「飛び癖があって、仕事も支払いも、行き詰まったら、『めんどい』『逃げたい』って思っちゃう。生活保護は働かなくても生きていける感覚がしみついちゃうから、僕の場合は裏目に出てますね。一度ラクするとそこから抜け出すのって難しい。さすがに1年先には就職していたいですが……」 貧困支援は万能ではない。
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現代は日本人全体が孤立化している
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