更新日:2024年07月31日 16:47
エンタメ

「今からでも観たい夏ドラマ」BEST5。『ブラックペアン2』は5位、『笑うマトリョーシカ』は3位

①NHK「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」

(火曜午後10時)  主演は河合優実(23)。3月に終了したTBS『不適切にもほどがある!』の小川純子役でブレイクしたが、このドラマのほうが先に撮影された。幸福と家族が切り離せない一家の物語である。  河合の役柄は兵庫県神戸市の高校3年生の岸本七実。父親・耕助(錦戸亮)は既に他界している。母親・ひとみ(坂井真紀)は朗らかな女性で、整体院で働き、七実とその弟・草太(吉田葵)との生活を支えていた。  七実は地頭がよく、ユーモアのセンスも抜群。中学2年生の草太も明るい性格だが、ダウン症であり、やっと1人でバスに乗れるようになったばかりだった。  周囲には「岸本家はかわいそう」とささやく人もいた。もっとも、当の岸本家にそんな意識はサラサラなく、仲良く幸せに暮らしていた。ひとみは子供たちが生きがい。七実も草太がかわいくてたまらない。草太もひとみと七実が大好きだった。  七実の彼氏・小平旭(島村龍乃介)が草太の存在を知ったことによって連絡して来なくなると、七実の側から絶縁する。 「ダウン症の子がいる家にはいろいろあるけど、ウチの家族にとって弟は面倒のかかる存在ちゃう! むしろ私が家族の中で面倒な存在で、弟に助けられている!」(七実)  誰だって自分の家族を敬遠されたら許せない。  その後、ひとみは大動脈解離で倒れ、車椅子での生活になる。すると、大学に興味がなかった七実が進学を決意する。ひとみの車椅子を押して街に出た際、入りたかったカフェには入口に段差があったために入れず、道行く人も冷淡だったからだ。  七実が進学先に選んだのは人間福祉学部だった。 「やさしい社会にして、あのカフェの入口の段差、ぶっ潰す!」(七実)  七実のギャグで笑える一方、幸不幸を決めるものは何かと考えさせる。 <文/高堀冬彦>
放送コラムニスト/ジャーナリスト 1964年生まれ。スポーツニッポン新聞の文化部専門委員(放送記者クラブ)、「サンデー毎日」編集次長などを経て2019年に独立。放送批評誌「GALAC」前編集委員
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