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軽トラックで“あおり運転”してきた高齢ドライバーが思わぬ事故で立ち往生するまで

雪道には相応しくないスピードで迫る車

雪道 北野稔さん(仮名・30代)は、雪の降る寒い朝、通勤時間帯にあおり運転に遭遇した。 「その日は朝から冷え込んでいて、前日に降った雪で道路は凍結していました。そこへ、さらに明け方から断続的に降り続いている雪が積もった状態でした」  北野さんは、この状況を天気予報である程度予想はしていたという。雪が降れば、朝の通勤ラッシュでの渋滞は当然であり、いつもより1時間ほど早く会社に向かっていたそうだ。 「夜の間に、タイヤにはゴム製のチェーンを巻いておいたので、少しは気持ちに余裕があったんです。それでも、雪道の運転は気を使いますし、緊張感のなかで走っていました」  なるべく交通量の少ない道のほうが安全だと考えた北野さん。いつも通る道を避け、裏道として使っている道路をゆっくりと走ることにした。 「私の車の前にも同じように考えたのか、ゆっくり安全運転をする車が1台いました」  北野さんは、その車と車間距離をしっかりと取っていたのだが……。

「早く走れ、道をあけろ」と言わんばかりのスピードを出し…

「私の後方から、明らかにこの雪道には相応しくないスピードの車が迫ってきたんです」  あっという間に北野さんの車の後ろに付いたかと思うと、それでも前に行きたいのか反対車線に何度もはみ出すような格好で、けん制してきたという。そして、北野さんの車を追い抜き、今度は前を走りはじめたそうだ。 「こんな雪道で、猛スピードで追い抜きをかけるなんてかなり危ない運転だと思いました。でも、あおり運転の運転手にとってはまだまだ飽き足らなかったのでしょうね。私の前を走る車にも、あおり運転を始めたんです」 「早く走れ、道をあけろ」と言わんばかりの“あおりよう”だったのだとか。 「それでも、前の車はそれまで通りにゆっくりと車を走らせていました。私もそれでよいと思っていました」  しかし、次の瞬間事態が急展開することに。
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バランスを崩し、車が180度反転
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2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

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