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“論争”は続くが「味の素」が絶好調な理由。2年連続で「平均2.1万円以上の賃上げ」も実現

「成長事業への投資」にも積極的

 味の素は現在、ヘルスケア領域の強化を進めています。メディカルフード、再生医療用培地、核酸医薬などです。特に再生医療分野への投資を積極化しています。京都大学iPS細胞研究所と再生医療に必要な培地の共同研究を行っていました。その中で、iPS細胞の増殖や分化に欠かせない「StemFit」の開発に成功しています。  再生医療が本格化すれば、培地も需要が増大する可能性があるのです。味の素は半導体の製造に欠かせない絶縁材を提供していることが知られていますが、医療の分野でも活躍が期待されています。  従業員への還元にも積極的。2024年3月に開催された春季労使交渉において、ベースアップ1万4000円に対して一発満額回答。2年連続で1人当たり6%相当、平均2.1万円以上の賃上げを実現しました。  経団連によると、大企業の2024年春季労使交渉の賃上げ率は5.58%。2023年は3.92%でした。2年連続で6%の賃上げを行った味の素は、大企業の中でも賃上げ率が高い水準を維持しています。  会社の成長や人材への投資を加速している味の素の経営姿勢を見ると、強気の値上げ発言をした社長の真意が見えてきます。 <TEXT/不破聡>
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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