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家族の危機を救った“姉の不倫”。「父の工場が潰れずに済んだ」まさかの理由

「姉の不倫」で父の会社は潰れずに済んだ?

 いつもであれば、父が怒るとその場からいなくなるのが常だった律さんだが、その時は違っていた。 「姉が珍しく怒った様子で反論したんです。『誰のおかげで工場が潰れなかったと思ってんのよ!』って。何を言ってるんだろうと思いましたが、話を聞いて驚きました」  姉の話は転職した当時に遡る。 「先方の社長の息子が専務として働いていたんですが、入社早々にその人から言い寄られていたらしく……。でも向こうは結婚していましたし、姉はうまくかわしていたそうでした」  だが、リーマンショックで実家が危ないことを知ると、姉は行動に出る。 「姉は実家を守るために、御曹司の誘いに乗ることにしたというんです。不景気を受けて、うちも取引を切られる予定だったのが、継続させることに成功して、さらには取引を増やすことにも成功したそうでした」

ショックを受けていた父だが…

 不景気を切り抜け、もう大丈夫だと思ったところで、御曹司との関係を解消し、会社も辞めることにした。 「父は『誠実に仕事をしてきたから会社を続けられた』と言っていたので、ひどくショックを受けていました。それに、姉のしたことも受け入れ難かったようで、下を向いて何もしゃべらなくなってしまいました」  律さんは本当は話すつもりはなかったと凛さんに語ったという。その後、律さんは家を出て、音信不通の状態になった。 「姉のことなので変なことにはなっていないだろうとは思っていましたが、父との関係は冷え切ったままなので、もう帰ってこないのではないかと心配していました。ですが、ある日、急に姉が帰ってきたんです。子どもを抱いた状態で……。姉は家族の誰にも言わずに、出産していたんです。本当に姉には驚かされてばかりです」  そんな律さんに対して、お父さんは怒らなかった。初孫の前ではデレデレで、律さんとの関係も良好だという。 <TEXT/和泉太郎>
込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め
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