家族の危機を救った“姉の不倫”。「父の工場が潰れずに済んだ」まさかの理由
同じ家で暮らす家族であっても、心のうちまではわからないもの。後で話を聞いて驚くこともある。川瀬凛さん(36歳・仮名)は姉の律さん(仮名・39歳)に関する忘れられないエピソードがあるという。
「姉は自由奔放な性格で、何日も家に帰ってこないなと思っていたら、誰にも言わずにふらっとカンボジアに旅行に行っていたりするような人間なんです。昔からエキセントリックなところがあって、父が厳しい人なのでよく叱られていました。そんな姉に家族全員が救われた話なので、見る目が変わるような体験でしたね」
ことの発端は、律さんの就職問題に遡る。
「姉は専門学校を卒業したあと、一旦就職したもののすぐに辞めて、その後は何年もフリーターとしてぶらぶら過ごしていました。そんな姉を見かねて、工場を経営している父は、工場の事務として働かせることにしました。でも、サボったり、職人さんと喧嘩をしたりとトラブルが絶えなくて、他の会社で働かせることにしたんです」
そうして転職先に決まったのが、父の会社の取引先だった。
「取引先に事務職を募集している会社があって、ふとしたきっかけで父が姉のことを話したところ、先方からぜひといわれて就職が決まったんです。父が『絶対に迷惑をかけるな』とキツく言ったからか、姉はサボりもせずに真面目に働いていたようでした」
それからしばらくたった頃、川瀬さんの一家は大きな苦難に見舞われる。
「リーマンショックで日本の製造業も大打撃を受けて、父の会社も経営が危なくなったんです。どんどん取引先からの依頼が減って、家ではあんまりお酒を飲まなかった父が、毎晩ベロンベロンに酔っ払うようになりました。当時は具体的にはわかっていませんでしたが、父の様子から相当ヤバいことは理解していました」
後で凛さんが聞いた話では、父の工場は銀行から多額の融資を受けないと成り立たない状況だったという。
「泣く泣く、長く働いてくれていた職人さんをクビにし、父は仕事の後に日雇いのバイトをするなどして、なんとか危機を乗り越えることができたんです。そんななか、姉が会社を辞めました。しかも良い辞め方ではなかったらしく、夕飯の席で父は姉に『おまえみたいないい加減な性格の奴は、社会人として失格だ!』と怒鳴り散らしました」
取引先で働くことになった姉
リーマンショックで経営が危なくなり…
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込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め
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