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牛角はなぜ炎上した「女性半額キャンペーン」を強行したか?焼肉店を悩ます“平日夜の集客”の難しさとは

焼肉店は平日と週末の客入りが極端に違う。平日の集客策が肝要

焼肉食べ放題

※画像はイメージです

 そもそも、外食店はあまりにも平日のディナー時間帯が入らないから、店を継続させるのに苦労している。店は人なりで、アルバイト比率の高い外食は人の管理が難しい。  売上の増減に対する調整弁となり変動費的要素であるアルバイトも、あまり時間をカットしたら、辞めてしまう。また新たな人を雇用するのは大変な手間と育成コストがかかるから、暇な日でもある程度の時間保証をしてあげて、離反防止に努めることが必要だ。  そのためにも平日にお客さんに来てもらう企画を実施しないといけない。何もせずに経費を削減するのみの店もあるが、やはり店をやる以上は、店内を活性化させることが肝要だ。  以前、男女関係なく、平日半額を実施していた焼肉店もあった。週末が休日という人が多い中、極端なことをするなと思っていたが、続かなかったのは当然であった。  平日に行ったら安く食べれて、週末に行ったら通常料金という不公平感から不満が噴出したと聞く。焼肉店は、週末は行列ができるくらい盛況だが、平日は閑散としているのが現実だ。  そういった曜日指数が極端すぎる焼肉店は、運営管理にメリハリはつけられるものの、売上の平準化を目指したい店側の思惑がある。その為に、平日にさまざまなキャンペーンを実施し、集客力を強化しているのである。  筆者も自ら焼肉店を経営していたから、この平日と週末の売上の違いは、心と体がついていかず苦労したものだ。  ディナーだけで採算が取れている焼肉店なら、それだけで十分だが、平日のディナーが入らない分、ランチ営業して売上を補完するのである。  もちろん、ランチをやることにより、食材の有効活用ができる(ディナー時の余りや端材を有効活用して食材ロスが削減)、ディナーへの広告宣伝費になる、同じ家賃を払うなら店をフル稼働させて支払い負担が軽減できる、現金払いが多いので資金繰りが助かるなどのメリットもあるが、できれば効率的に稼ぎたいからディナーに経営資源を集中させたい店は多いはずだ。

平日のディナー対策の企画には細心の注意が必要

 特別な店を除き、平日に単価が高いディナーレストランには、あまりお客さんは入らないのは今に始まったものではない。コロナ収束後は、多くのインバウンド客が来店してくれ、観光地や繁華街の飲食店を中心に賑わっているから助かっているようだ。  だから、よほどお得感があるキャンペーンでなければ、需要が喚起できないのが実情だ。昔と違って今のお客さんは外食慣れした人が多く、店を見る目のレベルが高いから、なかなか集客が難しい。  お祝い事やハレの日に限定されるのが、高単価のディナーだが、その特需はなかなか呼び込めない。そういう事情もあり、平日にキャンペーンを実施して集客するのである。  しかし、今回の平日の女性半額キャンペーンで、ここまでバッシングを受けるとは驚きだ。今の時代、キャンペーンを実施する際は、細心の注意が必要だということを学習させられた店は多いだろう。
飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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