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最高球速110キロの「平凡なピッチャー」がドラフトで指名されるまで。「球速を上げてくれる」人物との出会いが転機に

肉体改造を経て「130キロ後半」の球が放てるように

今やメジャーリーガーとなった今永昇太や、西武に23年ドラフト1位指名され10勝を挙げた武内夏暉、同じ年に日本ハムからドラフト1位指名された細野晴希ら、プロのトップアスリートも頼るのが、「DIMENSIONING」の北川雄介トレーナー。彼との出会いが下川を変えた。1年生から3年生の秋まで大学のリーグ戦での登板が1試合もなかっただけに、彼にとってはすがる思いで北川の下でトレーニングを行うと、その効果は早い段階で見られたというのだ。 「球速を上げるための肉体改造を行ってからは、微調整の繰り返しでした。今でこそ130キロ後半まで出るようになりましたが、当時はピッチングフォームを少しずつ少しずつ、改良を加えていく段階でした」 大学を卒業し、新潟に入団して迎えた1年目の秋。ドラフト候補として下川の名前が浮上したとき、高校時代の友人から連絡が来た。 「『オマエがドラフト候補になっているって本当?』と聞かれたんです。インターネットにそうした情報があがっていたようで、僕が『本当だよ』と返すと、『高校時代は100キロ台のストレートしか投げられなかったオマエが?』と、信用してもらえなかったんですよ」 と笑いながら当時を振り返る。

1年間投げ抜き、奪三振王のタイトルを獲得

24年は、当初は先発を中心に登板する予定だったが、シーズン中盤からはリリーフもこなし、チームの勝利のために懸命に腕を振った。橋上監督に考えがあった。 「先発だとペース配分を考えてしまうせいか、失点されるシーンがたびたびあったんです。そこで、短いイニングで全力で投げて抑えきることも彼には必要だと考えていました」 その結果、下川は40試合に登板して4勝8敗、防御率3.86、112回を投げて奪三振108という成績を残し、奪三振王のタイトルを獲得。これにより、BCリーグの倍以上の試合数をこなすイースタンリーグで1年間、故障なくシーズンを乗り切ったことで、「上でもやっていける」と自信を持つことができた。 今年の6月、筆者は下川にインタビューした際、こんな質問をした。 「もし育成で指名されても、プロには行きますか?」 すると、下川は目を輝かせながら答えてくれた。 「もちろん行きます。順位なんて何位だっていいんです。たとえ育成でも12球団に指名されれば、一軍の舞台に上がるチャンスができる。わずかであるかもしれませんが、どうにか食らいついてものにしたいんです」
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「第二の故郷」新潟のファンのためにも…
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スポーツジャーナリスト。高校野球やプロ野球を中心とした取材が多い。雑誌や書籍のほか、「文春オンライン」など多数のネットメディアでも執筆。著書に『コロナに翻弄された甲子園』(双葉社)
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