石原壮一郎氏「来てくれた人に笑い話のネタを提供するのも新郎新婦の務め」
―[[ありえない結婚式]呆然絵巻]―
来てくれた人に笑い話のネタを提供するのも新郎新婦の務めです
結婚式って、そもそも非日常な空間なので、何が変で何が変でないかわからなくなってくるんですよ。ローソク持って各テーブルのローソクに火をつけて回ったり、ケーキ切ってるところを皆で写真撮ったり、公衆の面前で親に向けて手紙読んだり、冷静に考えたら、それ自体、相当変ですよね。
私が目撃したケースでは、新郎がお色直しでラガーシャツにラグビーボール抱えて出てきて、花嫁にトライ!みたいな(笑)。新郎がラグビーの強い大学出身だったんですけど、本人はラグビー部でも何でもなかったのに……。
かく言う私も自分の結婚式のお色直しで、当時編集者として所属していた雑誌のキャラクターに扮して、暴漢に襲われた新婦を助ける――みたいな小芝居をやりました。今考えたら、本当に大人げないことをしたと思いますね(笑)。
結婚式には、人をそういう浮かれた状態にしてしまう魔物が棲んでいる。でも、わざわざ来てくれた人に、そうやって笑い話のネタを提供するのも新郎新婦の務めでしょう。出席する側も”どうせなら思いっきり変なほうがネタになる”ぐらいの気持ちでドーンと受け止めるのが大人の心得。感想を聞かれたら「忘れられない結婚式になったよ」と言っておけばいい。結婚式は参加者一人一人が大人力を披露する晴れ舞台だと思って挑んでいただきたいですね。
【石原壮一郎氏】
’63年、三重県生まれ。
編集者を経てコラムニスト、大人評論家。
『大人力検定』(文春文庫)、『決断道』(廣済堂出版)ほか著書多数。
最新刊『大人の仕事力講座』(ナガオカ文庫)発売中
取材・文/石島律子 漆原直行 昌谷大介
イラスト/坂川りえ
取材協力/メディアパーク
― [ありえない結婚式]呆然絵巻【8】 ―
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