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粗品に「おもんない老害」とディスられた嘉門タツオを直撃。「彼は天下を取る男。コラボできたら面白いね」

粗品は天下を取るという期待がある

粗品は天下を獲ると思う――そうやって下の世代からdisられることについてはどう思いますか? 嘉門:彼は漫才の実力はもちろんですけど、音楽的才能もすごいじゃないですか。キーボード弾けるし、オーケストラの指揮もできるし。漫才というフィールドだけに収まらない器だと思うので、単にテレビの冠番組を獲得するだけじゃない、天下を取るという期待はありますね。 ――「老害」「おもんない」っていうフレーズが強烈すぎて、てっきり嘉門さんは怒ってるんじゃないかと思ってました。 嘉門:いや、僕もある意味さんざんやってきましたので(笑)。 今はモラルの問題から規制が厳しいですが、自分が20代、30代の頃は「放送禁止」というラインをギリギリのところで踏み込んで、オンエアできないけど劇場やライブではアリ、みたいなことやってましたから。反社、宗教、政治……まんべんなく噛みついてきたので。

時代に合わせたフィールドで表現を続けたい

――個人が自由に発信できるSNS全盛の現代では、すぐに炎上や分断が起きてしまい、なかなか対話が生まれにくく、エンタメやカルチャーをめぐる環境が厳しいように感じます。 嘉門:どうだろう……ちょっと古いところだと野村サッチーと浅香光代さんのやりとりってあったじゃないですか。 ワイドショーが一つの舞台になって、梨元勝さんとか鬼沢慶一さんとか芸能リポーターが互いの家にズカズカ上がり込んで焚きつけて。あれと同じじゃないですか。なので、時代は変われど、そのフィールドのなかで表現を続けていけばいいのかなと。 ――そんな時代の流れのなか、嘉門さんは我が道を歩いてきた自負もあるのでは? 嘉門:最近はずいぶんソフトになったというか、人生経験とともに深みが増したというか。昔から「人を傷つけることはしない」「弱い者イジメはしない」と決めてやってきたんですが、「あ、もしかしたらこれって誰か傷ついてるかも」と思うようになって、今はそのへん気を使ってますね。 昔つくった曲に、クラス全員に目を閉じさせて、先生が「このなかに親友がいる人?」と尋ねて、こっそり薄目を開けたら自分が親友だと思ってた人が手を挙げてなくて教室を飛び出した、みたいなのがあったんですけど、同じような経験をした人から「あれは傷つきました」と言われて「確かにそうやな」と思って封印したり。 ――80年代、90年代まではそれこそストレートな悪口や表現がテレビなどのメディアでも飛び交ってた印象があります。 嘉門:当時は「ブス」「デブ」「足が短い」とかみんな平気で言ってましたよね。「ヅラ」は微妙なので、なかなか今でも手をつけにくいですけど(笑)。 ただ「デブ」にしても、なんらかの病気でそうなっている人がいると思うとデリケートな言葉ですよね。「三段腹」くらいまでは不摂生感がするのでなんとか大丈夫かもしれませんが。
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かつての替え唄が今の時代“カスハラ”になる
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株式会社ラーニャ代表取締役。ドラマや映画の執筆を行うライター。Twitter⇒@Yuichitter

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