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粗品に「おもんない老害」とディスられた嘉門タツオを直撃。「彼は天下を取る男。コラボできたら面白いね」

かつての替え唄が今の時代“カスハラ”になる

替え唄が“カスハラ”に――時代の移り変わりとともに言葉選びの難しさを実感しますか? 嘉門:『ハンバーガーショップ』(※バーガーショップの店員のマニュアル対応にいちいちツッコむ)という曲も、今の基準で見るとカスタマーハラスメントにあたりますので(笑)、この曲をベースに、流行りのカフェのオーダーについて唄ったりしています。あとはインバウンドで訪れている人たちについてとか。 6年前に『HEY!浄土~生きてるうちが花なんだぜ~』という曲をつくったんですけど、母が亡くなったときにそれを唄って出棺して、その次には妻が亡くなったときに流したんですよ。30代、40代ではできなかったことが、この年齢になってできるのかなって。 ここから先、70代、80代になったら作れる唄がもっとあるだろうし、それこそ「老い」や「介護」をテーマにして、そういう現場に携わる人にとって少しでも救いになるような唄をつくっていきたいですね。

具体的な出来事を唄にして発表するのが自分の仕事

――そう考えるとネタはいくらでもありますね。 嘉門:40代の頃、「80歳になったら『尿漏れ』という曲を唄ってると思います」って冗談まじりに言ってたんですけど、これも今となってはなかなか笑えない深刻な問題じゃないですか。80歳になって「聴いてください。『あんたの介護は受けたくない』」はギリギリ笑えるかもしれないけど。 そういうことをより具体的に唄にして発表していくことが自分の仕事であると、昔からそうですけど年齢を重ねるにつれ確信してきてますね。「唄があるべきものには唄にしよう」と。 亡くなった高石ともやさんにも「抒情詩ではなく叙事詩。具体的なことを唄い続けているよね、あなたは」と言われたことがあって。そうだよなと。 世間は桑田(佳祐)さんやユーミンに介護の唄を求めてないですからね(笑)。かれこれ14歳のときから唄をつくってますけど、基本はまったく変わってないです。 <取材・文/中村裕一 撮影/スギゾー> 【嘉門タツオ】 ’59年、大阪生まれ。’83年『ヤンキーの兄ちゃんのうた』でレコードデビュー。『ゆけ!ゆけ!川口浩!!』『替え唄メドレー』『鼻から牛乳』など多くのヒット曲を持つ。『鼻から牛乳〜令和篇〜』が9月に配信され話題に。『大阪・関西万博エキスポ~港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ~』が12月18日配信リリース、ニューアルバム『至福の楽園〜歌と笑いのパラダイス〜』が2025年3月19日発売。来年3月からは、東名阪ライブツアーも決定している。
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粗品氏に「おもんない」と言われた『鼻から牛乳〜令和篇〜』
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株式会社ラーニャ代表取締役。ドラマや映画の執筆を行うライター。Twitter⇒@Yuichitter

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