成功の鍵は「ファンに虚しい思いをさせないこと」
――相当な悔しさだったんですね。そもそも、メンバーのなかで今回、桃瀬さんが代表となったのはどんな経緯だったのでしょうか。
森ふうか(以下・森):実は、彼女はデビューからまだ半年のフレッシュアイドルなんです。とはいえ、アイドル活動への熱量は大きくて、いつも「いつか雑誌に載りたい」「メディア露出を増やしたい」と自発的に言うほどのガッツがある。その熱意を汲んで、彼女に託すことにしたんです。
ステージ上のアイドルたちを見つめる森P。通常、アイドルのオーデイションは併願して受けるそうだが、彼女のもとに集うアイドルたちは「森P単願」が多いという
――まだ新人ながら2位。今回のバトルに際し、特別な戦略を持って臨んでいたんですか?
森:私の過去のアイドル経験から学んだことでもあるんですけど、こうしたバトルのときに注意すべきなのは、応援してくれたファンに虚しい思いをさせないこと。その対策として、応援してくれた額に応じて特典をつけることにしたんです。
今回の場合は、1万円分課金して応援してくれたら、メンバーとの焼き肉のオフ会チケットがついてきたり。課金金額ごとにさまざまなリターンがくるように設定しました。また、生写真を5種類すべて買ってくれたコアファンに対しては、特別にLINEのオープンチャットに入ってもらい、今後の作戦をメンバーと一緒に練ることができるというシステムも。とくにこれは、まだデビューしたてでコアファンが少ないあやなにとっては、かなり功を奏したなと思いますね。
――そうした積み重ねがあったからこそ、自信があったんですね。
桃瀬:そうですね。最初は正直、ここまでファンの皆さんがついてきてくれるとは思っていなくて、大きな自信に繋がりました。結果は2位だったけど、あとから振り返っても「もっとこうしてばよかった」って後悔することは一つもなくて、本当にやりきったなと。だからこそ、これからもこの熱量を絶やさずに努力し続けて、来年もSPA!FESに挑戦し、絶対に1位を獲りたいです!
ライブのあとにはエピソードトークゾーンも。この日は春宮が優勝し、森Pからアマギフが贈られることとなった
――そもそも、ポジモンとはどういったグループなのでしょうか。
森:私がアイドル引退後につくったプロデュース事務所から、4年前に発足したグループです。もともと私は「スーパーポジティブアイドル」というキャラクターのアイドルだったので、その“ポジティブさ”を受け継いでほしいという願いから名付けました。
ただ、いままではメンバーの引退・脱退が多く、なかなか安定した活動ができていないという悩みがありまして……。けど、現在のメンバーはそれぞれやる気がしっかりしていて、ちゃんとポジティブなので、今後はより飛躍していけると信じてます。
インタビューに臨んだ森Pとポジモンメンバー。リーダーの佐伯夏海はリモートで参加してくれた
――改めてメンバーの皆さんの自己紹介をお願いしてもいいですか?
佐伯夏海(以下・佐伯):ポジモン1年目からいる、リーダーの佐伯夏海です。学校に馴染めなかった高校時代にアニメ作品のアイドルの存在に救われたのがきっかけで、私を見て「明日も頑張ろう」って思ってくれるような存在になりたいとずっと思ってました。
私は親をなんとか説得してオーディションに臨んだんですが、そのときわざわざ森さんが私の家の近くまで来て歌を褒めてくれたことが印象的で。いまは看護学生で実習中のため活動をお休み中ですが、来年の3月には復帰します!
桃瀬:私は小学生の時からアイドルオタクだったんですけど、とはいえ自分がアイドルになれるとは思っていなかったんです。けど、グラフィックデザインの専門学校に行って内定も出たときに、ふと「アイドルになれるとしたら、いまがラストチャンスだ」という、諦めきれない気持ちに気づいてしまい……。内定を辞退し、楽曲がもともと好きだったポジモンに人生をかけることにしました!
春宮さくら(以下、春宮):メンバーカラー赤担当の春宮さくらです! 私の場合、高校まで続けた吹奏楽部での活動がきっかけなんです。打楽器でパフォーマンスをしていたら、ステージ終了後にわざわざ「あなたの笑顔とパフォーマンスが輝いていたよ」と伝えてくれたお客さんがいらっしゃって。自分1人の力で、誰かの心を動かせることを知って、それを職業にしたいって思い、今年8月からポジモンに加入しました。
森さんに聞いたら、「この子、営業スキル高そう」というのが採用の決め手だったらしいんですけど、たしかにビラ配りなんかも人一倍全力でやっている自負はあって(笑)。一見ひかえめに見えるかもですが、グイグイ頑張れるタイプです。
美月瑠奈(以下・美月):黄色担当の美月瑠奈です!私はもともと別のグループを辞めていて、次のグループを探していたときに、姉が「ポジモン、いいんじゃない?」って教えてくれたんです。元々ネガティブ思考のタイプだったので、このグループに入ってポジティブに変わりたい!って意気込みで加入しました。
12月から「ポジモン」と「ひまさく」の兼任になる星乃愛璃咲。デビューして4か月ながら、すでに多くのファンを魅了している
星乃愛璃咲(以下・星乃):現在ポジモンの妹グループである「ひまわりが咲く頃に」と所属している星乃愛璃咲です。今年12月から、ポジモンと兼任することになりました。昔、1度アイドルオーディションに落ちてしまい保育士をしていたんですが、その後一念発起していまはアイドル1本で頂上を目指してます。いつもニッコニコなところがチャームポイントです。
12月に5人揃ったポジモン。今後ますます目が離せない!
――皆さん本当に前向きな印象が伝わってきました。ありがとうございます。最後に、ポジモンの目標を教えて下さい。
森:もちろん、東京ドームや武道館といったステージの目標はメンバーそれぞれあると思います。でも、SPA!FESで一番に実感したのは、やはりコアファンの獲得。いまポジモンを大事にしてくれる方はもちろん、一度離脱した方、これからポジモンを知ってくれる人もすべて含めて、1人もとりこぼさないアイドルグループになるのが何よりの願いです。彼女たちをきっかけに、世の中にポジティブの輪が広がっていくよう、皆でがんばっていきます!
新人ながら大きな活躍をみせてくれたポジティブモンスター。その底抜けの明るさで全国を侵略しつづけ、来年のSPA!FESでも目が離せない存在になることだろう。
ポジティブモンスター:スーパーポジティブアイドルとして人気を博した、森ふうかプロデュースのアイドルユニット。’21年に発足し、「世界をHAPPYに侵略!」をコンセプトに活動中。’25年3月には現在メンバーで初のワンマンライブも控えている。
取材・文/田中慧(清談社)、撮影/長谷英史