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「不二家」と「シャトレーゼ」で分かれた明暗。“ペコちゃん色”を薄める“脱ファミリー戦略”にかかる期待

「普遍性」と「立地特性」が噛み合い、好調を維持

 まず、ケーキ市場そのものの停滞感があるでしょう。先ほどの矢野経済研究所の調査では、2023年のデザート市場は4.3%伸びるという予測でした。これにアイスクリームの市場を加味してそれ以外(洋菓子・和菓子など)の伸びを算出すると、2.5%ほどとなります。  また、不二家はファミリー層が主要なターゲットであり、少子化が深刻化する日本においては不利。ハレの日需要など利用シーンも限定されてしまいます。  不二家は2023年9月にロゴを一新し、「ペコちゃん」のトレードマークである、舌をモチーフにしたデザインを採用しました。ファミリー層に親しまれた“ペコちゃん色”を薄めており、ブランドイメージの刷新を図っています。  最近では焼き菓子に力を入れており、バウムクーヘンが売れ筋商品の仲間入りを果たしました。不二家は、2007年に発覚した期限切れ牛乳使用問題でブランドイメージが激しく毀損。そこからは回復したものの、現在は新たな壁に直面しています。  トップスの強さを支えているのは、どの世代にも愛されるケーキを提供しているため。昔ながらの手作りにこだわり、飾り気がなくシンプル。クルミのアクセントなど、飽きさせない工夫も加えられています。  この普遍性が最大の強み。トップスは大丸や高島屋、伊勢丹など都市部の百貨店を中心に出店しており、お土産需要の獲得ができます。世代を問わずに好まれやすいため、“外さない”お土産に最適なのです。 <TEXT/不破聡>
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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