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“アート”としても注目のスケートボード…仕掛け人は「メイドインジャパンのデッキを世界に届ける」と意気込み

スケートボードのプリントは苦難の連続だった

シルクマスター社長の戸塚明氏

 「シルクマスターSB」の2025年度の売り上げは、6000万円以上を見込んでおり、さらなる成長が期待されるが、サービスを始めるまでは「苦労の連続だった」という。 「日本でスケートボードのプリントサービスを行っているのは、うちだけしかありません。国内に生産工場が1つもないので、懇意にしている資材屋にあたっても、一切情報がないんです。そこで、YouTubeで『スケートボード』『プリンティング』といったワードを検索して、海外の工場の動画を観察するところから始めました。  でも、本当に肝心なところは企業秘密なので、動画では見せてくれない。研究を始めた2019年はコロナ前だったこともあり、アメリカや中国の生産工場を見学させてもらい、印刷方法や仕入先のヒントをいただくことができました」  こうして本格的な研究がスタート。これまで培ってきた技術もあり、「半年でスケートボードへのプリントのクオリティは、感銘を受けた作品レベルに近づけた」と自信をのぞかせた。 「そこからが苦難の連続でした(笑)。きれいにプリントできたものの、耐久面で満足のいく仕上がりにならなくて……。当初は爪でこすっただけで、プリントが剥がれてしまうような状態でした。  スケートボードは、ご存じの通り激しいスポーツなので、プリントの強度も求められます。スケートボードのプリントサービスをやるからには、自信のあった装飾はもちろん、強度にも手を抜きたくはなかったんです」

メイドインジャパンのデッキを世界に届けたい

 強度の研究に約2年の時間を要し、2021年にサービスを開始した「シルクマスターSB」。日本で唯一のスケートボードデッキへのプリントサービスとして、戸塚氏には大きな夢がある。 「『シルクマスターSB』では、日本のアーティストの方たちに作品を提供してもらい、スケートボードのデッキにプリントしてSNSで公開する施策を1年近く続けています。これまでに50名以上のアーティストにご協力をいただき、60以上もの作品が完成しました。  現在は、OEMの仕事がメインですが、今後はオリジナルブランドを立ち上げて、日本のアーティストの作品や、アニメ、マンガなどのデッキをメイドインジャパンとして海外で販売していきたいですね。そして、オリンピックを夢見て頑張っている選手たちに愛用してもらえるような、魅力的なスケートボードを作りたいです」
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