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“アート”としても注目のスケートボード…仕掛け人は「メイドインジャパンのデッキを世界に届ける」と意気込み

 東京・パリオリンピックでの日本人選手の活躍で、一躍話題になったスケートボード。このスケートボード界隈で、選手のほかに注目を集めている企業がある。

日本で唯一のスケートボードデッキへのプリントサービス

 2021年にスケートデッキにオリジナルデザインを1枚からプリントできる、日本で初めて本格的なスケートボードのプリントサービスをスタートさせたシルクマスター。1982年に静岡で創業したTシャツのシルクスクリーンを得意とする会社だ。 「2019年に訪れたロサンゼルスのザ・ブロードという現代アートの美術館で、芸術作品がプリントされたスケートボードが売られていました。そのプリントの仕上がりが、見たことがないぐらい非常にきれいだったんです。感銘を受けた私は、スケートボードのプリントの研究をやろうと決意しました」  そう振り返るのは、シルクマスター社長の戸塚明氏。同氏が中心となり、2021年に始めたスケートボードデッキへのプリントサービス、「シルクマスターSB」の新事業は右肩上がり。2024年は約5300万円の売り上げを見込んでおり、軌道に乗りつつある。

東京・パリオリンピックの日本人選手の活躍が人気を後押し

 新事業が堅調に成長している理由を、戸塚氏は「うちはTシャツのプリントサービスを長年手掛ける中で、アパレルブランドとの付き合いがあったから」と説明する。 「アパレルブランドには、スケートボードのカルチャーから発生したブランドも多い。そういったところから“シルクマスターSB”をほかのメーカーにご紹介いただければ、なんとかやっていけるだろうという目論見はありました。  あと、うちは2011年頃からアニメやマンガのTシャツのプリントサービスも手掛けています。『ポケモン』や『遊戯王』などの人気コンテンツが、キャラクターをプリントしたスケートボードを制作して人気を博していたので、アニメ業界でも需要が見込めると考えました」  さらに、東京・パリオリンピックでの日本人選手の躍進も新事業の追い風となった。 「息子がスケートボードの選手だったので、スケートボードが魅力的なスポーツであることは以前から知っていましたが、世間の一般的なイメージは、やんちゃな男の子がやる遊びといった感じで、正直、あまりよくなかったと思います。  ですが、東京・パリオリンピックで男女ともに金メダルを獲得したことで、スケートボードがスポーツとして認知された。スケートボードへのイメージが変わったことで、うちでも作ってみようかなと興味を持ってくれた取引先が増えた印象です」
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スケートボードのプリントは苦難の連続だった
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