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30年後には日本の95%のマンション価格が下がる!? 湾岸タワマンのメリットが薄れ、“復権する可能性がある”物件

今から30年ローンを組んだら、完済時の日本はどう変わっているのか? マンションアナリストののらえもん氏が「30年後のマンション未来予想図」を開陳!(以下、のらえもん氏による寄稿) のらえもん

最後のコンクリートになる? 30年後のマンション未来予想

「買うは一瞬、住むは一生」。住み始めた後のことも考えて、今回は30年後の東京マンション事情を予想してみたいと思います。あくまで、“のらえもんなり”に。 国立社会保障・人口問題研究所によると、日本の総人口は’50年に1億人を下回ると推計されています。人が減ればマンション需要は低下するもの。30年後には日本の95%のマンション価格が、今より下がっているでしょうね。人口は出生と死亡による自然増減に関してかなりの精度で予測できるので、移民の増加などがない限り、その予測は大きく外れないと思われます。 30年後、地方はもとより関東近郊でも「マンションに値段がつかない」というエリアが出現します。「多少人が減ったとて街からゴッソリ人が消えるわけじゃあるまいし、十分生活は成り立つだろ」とツッコむ読者がいそうですが、一例として神奈川県綾瀬市は、現在の人口約8万人から今後10年で4000人ほど減る見込みです。たった5%の減少ですが、「若い人が増えない」状態が深刻です。町が“老ける”ので。お店や設備が高齢者向けのものへとシフトするので、新たな若者の流入が見込めなくなります。そんな場所で買ったマンションを売ろうと思ったら、買い手は高齢者に偏っていく。人口減少エリアは負のスパイラルに陥っていくのです。関東のメジャーな自治体であれば当面は安泰でしょうが、「30年先まで見越して買う」姿勢は身につけておくべきです。

ラストコンクリートを愛でる30年後の日本

老け込むエリアが増える未来の日本で、値段を保てるマンションは立地に加えて「満室」や「管理」が維持できている、小綺麗な物件であるのは間違いありません。小綺麗に保つには人手が要りますが、高齢化で人手不足が深刻化しています。建設業界の就業人口は1997年の685万人から482万人(’21年)へと25年で30%近くも減ってるんです! 今や質の高い仕事ができる職人が絶滅の危機に瀕している……。 職人の希少性が高まれば、確保するための人件費も上がります。加えて、建築資材も高騰しているので新規着工件数がドンドン減ってます。今の日本は「RC物件(鉄筋コンクリート造)を解体して新しく建て直す」経済的な合理性が失われつつあり、東京ですら再開発が難航しています。なので今、我々が見ているマンションは「最後のコンクリート建築になる」可能性が非常に高いと認識しておきましょう。だから、僕らにはマンション管理に積極的に参加しながら、適切な修繕をして大事に長く使っていく姿勢が求められるのです。 とはいえ、のらえもんも、いつまで「湾岸エリアの妖精」でいられるかはわかりません。タワマンって、70㎡で3LDKという間取りの物件が多いんですけど、子供2人の4人家族には少々手狭なんです。だから、家族が増えると、タワマンを卒業するという家族も少なくありません。今後、インフレが一層進むと、修繕費の高騰を嫌気して売り払う人も増えるでしょう。30年後には、今の時代に合わせて合理化された職住近接型の湾岸タワマンのメリットが薄れる可能性もあるのです。
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〇〇が復権する時代がくる?
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マンションアナリスト。「のらえもんブログ」やSNSでマンション購入に役立つ情報を13年以上にわたり発信。著書に『絶対に満足するマンション購入術』(廣済堂出版)など。「スムログ」発起人。住み替え支援サービス「すみかえもん」もプロデュース

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