トルネード投法「興南・島袋」、春夏連覇の“その後”。「大学時代の酷使」で輝きを失い…現在は指導者として後進に夢を託す日々
2010年に春夏連覇に貢献した左腕が島袋洋奨だ。3年生のときに興南を春夏連覇に導き、その名を全国に知らしめた。ピッチングスタイルは独特で、高校野球ファンの間で大きな注目を集めた。最大の特徴は、「トルネード投法」とも称される独特のフォームである。
小学生時代から小柄な身体を最大限に活用するために編み出したこの投法は、身体を大きくひねり、全身のバネを使って投げ込むスタイルだ。島袋自身、小学生時代からトルネード投法を磨いてきた。2年生のときに出場した甲子園では春夏いずれも初戦で敗れている。センバツでは19三振を奪ったものの、終盤に崩れ初戦敗退。夏の甲子園では今宮を擁する明豊相手に9三振を奪ったが、センバツと同様に終盤に崩れてサヨナラ負けを喫した。2年生エースとして世間にインパクトは残したが、スタミナ不足を露呈していた。2年からの主力が多かったため、チーム自体も期待値は高く、島袋自身は2年から3年にかけて成長していく。
※本記事は『データで読む甲子園の怪物たち』 (集英社新書)より抜粋・編集したものです。
「僕の投球フォームだと、疲労で一度バランスを崩したら、身体が横に倒れてしまい修正が難しい。去年の夏に負けた後、走り込みだけでなく器具をかつぎながらスクワットを行ったことで、下半身が安定し、投球動作の軸ができた」
こう話すように、島袋は下半身を徹底的に鍛え抜いた。このトレーニングによって世代ナンバー1左腕が誕生する。下半身のブレはもちろんだが、スタミナもついたことで試合終盤になっても球威は衰えることはなかった。さらに、変化球のクオリティや投球術も向上していた。
本人も「2年生の夏までは力勝負だけをしていた。だから終盤に打線に捕まってしまった。秋に新チームとなってからは、変化球をうまく使うことで、試合の序盤と終盤で配球の組み立てを変える工夫もできるようになりました」と話すように2年生までの力任せや試合序盤から飛ばすピッチングスタイルを見直し、さらなるレベルアップにつながったのだ。
3年生になると手がつけられないぐらいになった。センバツ初戦の関西戦では、10安打を浴びながらも要所は力を入れ、14奪三振のピッチングを見せる。2回戦の西川遥輝(現・東京ヤクルトスワローズ)を擁する智辯和歌山戦でも10安打を浴びながらも11奪三振を記録し、完投勝利。準々決勝の帝京戦は完封勝利を成し遂げた。さらに、準決勝の大垣日大戦は完投こそしなかったものの、7回を自責点0に抑え決勝に進む。
そして決勝は日大三戦だ。これまでとは違い、疲れもある島袋は2本のホームランを打たれるなどこれまでのようには抑えられない展開になる。ただ、自らを援護するように4打点を記録し、延長12回の死闘を一人で198球投げきりセンバツの頂点に立った。
冬場に3日連続で150球の投げ込みや40段ある階段で左足ジャンプをし、軸足を強化した。その結果、この大会は、まだセンバツの段階だったが、前年のスタミナ不足を改善したことはもちろん、最速145㎞/h台のストレートに縦のカーブやスライダー、ツーシームなどで緩急をつけ、46イニングで49奪三振を記録した。

第82回選抜高校野球 決勝戦で投げる島袋洋奨 ©産経新聞
下半身を鍛え抜き、“世代ナンバー1左腕”に
センバツ決勝は「一人で198球投げた」
野球評論家・著作家。これまでに 『巨人軍解体新書』(光文社新書)・『アンチデータベースボール』(カンゼン)・『戦略で読む高校野球』(集英社新書)などを出版。「ゴジキの巨人軍解体新書」や「データで読む高校野球 2022」、「ゴジキの新・野球論」を過去に連載。週刊プレイボーイやスポーツ報知、女性セブンなどメディアの取材も多数。Yahoo!ニュース公式コメンテーターにも選出。日刊SPA!にて寄稿に携わる。Instagram:godziki_55 X:godziki_55 TikTok:@godziki_55 Facebook:godziki55
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