更新日:2025年09月13日 16:30
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“生まれつき弱視”の慶應生がショックを受けた、大学での出来事「差別意識を隠そうともしない人たちが思ったよりも多い」伝えたいメッセージとは

その男性は白杖をついて現れた。鈴木我信さん(@gashin_lv)、19歳。現役の慶応義塾大学生だ。生まれながらの弱視で、右目にわずかに視力を残すのみで、左目は光をまったく感じない。現在は大学生として勉学に勤しむ傍ら、ショート動画などを制作して弱視について広く知ってもらう活動をしている。「障害があるからたいへん、で終わらずに、どう工夫するかが大切」と語る鈴木さんの話に耳を傾けた。
鈴木我信

鈴木我信さん

ネガティブな反応に対して思うことは…

――今年7月、大手コンビニエンスストアチェーンのローソンで「店内での写真・動画の撮影はご遠慮ください」というアナウンスが流れるようになったことについて、スマホカメラを通じて拡大しないと見えづらい弱視の当事者の目線で発信されていましたね。反応はいかがでしたでしょうか。 鈴木我信:私の周辺では、「弱視の人たちが置かれている状況がよくわかった」という肯定的な意見が多かったと思います。ただ、公の掲示板などでは、「障害者だからと言って撮影をしてもいいのか」などの懐疑的な声も多く、まだまだ身近に困難を抱える人の存在がみえていない人も多いんだなと思いました。やはりこれからも伝え続けていかなければならないと感じましたね。 ――ネガティブな反応に傷つくことはないですか。 鈴木我信:傷つくというよりも、まず「どうやって現状を変えていこう」と考えるタイプのようです。障害の存在を知ったうえで個々人がどう思うかまで私は立ち入ろうと思わないし、その人の考え方は自由だと思いますが、詳しく知らなかったり考えたこともない人に対しては、積極的に発信することで情報を届けたいとは思っています。

やりたいことをやらせてくれた両親

鈴木我信

幼少期の鈴木さん

――鈴木さんのそうした建設的な考え方は、どこから来るのでしょうか。 鈴木我信:両親が常にやりたいことを制限せずにやらせてくれたことが関係するかもしれません。私は一級建築士の父親、そして母親に育てられました。ありがたいことに、「挑戦したい」ということは基本的にやらせてもらえる環境でした。 幼少期はわりとそそっかしくて、友だちとサッカーをやって接触して舌を切ってしまったり、スパにある懸垂の棒みたいなもので遊んでいて目の上をざっくり切ったり……そういうハラハラさせる子どもだったかもしれません。 一番ひやりとしたのは、恒例の家族での花火大会をやっていたときのことです。線香花火をよく見たくて目に近づけたら、火花が目のなかに飛び込んできました。幸いにも数時間後に視力は戻りましたが、相当肝を冷やしました。目に障害があることで、両親はきっと心配なこともたくさんあったと思いますが、過保護になりすぎずにじっと耐えてくれました。
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気分が重くなった、陰湿な“いじり”
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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