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自称「変態文学大学生」を直撃。なぜ“性愛”と“文学”に傾倒したのか…「大学に残り続ける道」を選んだ理由を聞いた

 変態文学大学生――。なんと、あらゆる妄想を鷲掴みにする肩書だろうか。自らをそう名乗るのは、吉行ゆきのさん(@yoshiyukiyukino)。現役の北海道大学大学院生だ。    彼女はなぜ“性愛”と“文学”に傾倒したのか。その源泉を辿る。
吉行ゆきの

吉行ゆきのさん

いったい何者なのか?

吉行ゆきの

昼まで飲み続けることもしばしば

――肩書の面白さに惹かれました。実際、吉行さんは何をしている方なのでしょうか。 吉行ゆきの:現在は北海道大学で文学を研究しています。この3月に修士課程を修了し、春からは博士課程に進学します。ペンネームの吉行は、敬愛する吉行淳之介からです。ちなみに大学は同じく北海道大学でしたが、経済学部に在籍していました。 ――意外としっかりした方で驚きました(笑)。SNSではずっと飲んでいるイメージだったので。 吉行ゆきの:いや、そのイメージも間違ってはいません(笑)。たとえば、夜中からずっと読書をしながらひとりで飲み始めて、昼ごろに友人から連絡がきて一緒に昼飲みをして……みたいな日も結構あるんですよね。お酒も日本酒が一番好きですが、ウイスキーならアイラ系のスモーキーなものが好みだったり、年齢と好みがマッチしていないとよく言われます(笑)。

医師や弁護士に憧れた時代もあったが…

吉行ゆきの

自由な校風の高校で、「文学を好きなんだ」と自覚した

――経済学部を卒業して文学を研究しようというのは、どういう気持ちの変化からですか。 吉行ゆきの:そもそも経済学を学びたかったわけではないんです。私はもともと理系で、文転しました。当時、文系学部で数学を入試に活かせる北大の学部は限られていました。そのなかの1つであった経済学部を受験したという経緯があります。  幼少期から書籍が大好きだったんです。当時は、それこそミヒャエル・エンデ作『モモ』とか、年齢相応の作品を楽しんでいたと思います。母子家庭で育った私は、母親との距離が近くて、性に対してもオープンに話す関係性でした。今でも共通の“推し”のエロ漫画家がいるくらいです。そうしたなかで、文学性を保ちながらエロスを感じることのできる作品が世の中に多いことを知って、研究したいなとは思っていました。 ――エロ×文学というのが、ある意味で吉行さんの人生のテーマでもあったわけですか。 吉行ゆきの:ただ、たとえば中学くらいのときは暮らし向きも良くなかったことから、一般に稼げるとされる医師や弁護士に憧れた時代もありました。そういう意味で実学思考だった時期もあります。ところが高校に入学してみると、とても自由な校風で驚きました。各々が本当に自分の好きなことに向き合っていて、そうした環境のなかで「自分は文学が好きなんだ」と自覚したことは確かだと思います。
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「Fantia」の変わった使い方とは
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ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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