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中学受験「問題難易度のインフレ」が止まらない。“20年前の開成中の問題”は「偏差値50でも解けて当たり前」に

 誰もが「お金を払うなら、それなりの価値があってほしい」と感じるはず。  100円均一ショップが成立するのは、100円にしては十分なクオリティと品ぞろえを誇るから。  仮に、100均の商品をひとつ1万円で売り出したら、レビュー欄は大荒れで炎上間違いなしでしょう。  家具販売で有名なニトリのコピーは「お、値段以上。」ですが、これは価格以上の品質を提供し、顧客満足度を高めんとする姿勢が表れています。  こちらも「値段以上」だからうれしいのであり、「値段以下」なら誰も手に取らなくなってしまうはず。
じゅそうけん合同会社代表・伊藤滉一郎氏

じゅそうけん合同会社代表・伊藤滉一郎氏

都内を中心に加熱する中学受験ブーム

「教育投資」の重要性が囁かれはじめてから、20年以上が経とうとしています。  特に昨今は中学受験ブームが勢いを増しており、1980年代には12%程だった中学受験の参入率は、今では30%近くまで上昇。  都内では3人に1人が受験を考え、特に競争が苛烈な港区や文京区では2人に1人が受験戦争へ身を投じていく。  もちろん、教育投資自体は悪くありません。ただ、いっそう激しさを増す受験ブームに対して、冷ややかな目線を送る人も少なくない。  受験最前線の分析や解析を得意とするじゅそうけん合同会社代表・伊藤滉一郎氏は「いまの中学受験参加者の、少なくとも過半数は必要がない受験をしている」と語ります。  異常な熱を帯びる中学受験戦争のリアルに迫ります。

「20年前の開成レベル」は解けて当たり前に

ーー中学受験が年々激しさを増していると聞きましたが、現代はどんな状況なのでしょうか? 伊藤:とにかく、問題難易度のインフレがものすごいんです。  毎年100人以上を東大に送り込む開成高校という学校があります。中高一貫校で、学年のほとんどが中学からの持ち上がりで構成されますから、実質中学入試が東大へのプラチナチケットのようになっている。  もちろん、受験難易度も最高峰で、各受験塾の一番頭がいい子が受かるかどうか、といったところ。ですが、いまの偏差値50程度、つまり平均くらいの子たちですら、20年前の開成中学の過去問が解けて当たり前なんです。  それですら偏差値50のキープがギリギリ。20年前の開成入試が簡単だって話ではありません。むしろ、大人でも手こずる難問ばかり。今の子どもたちに求められるレベルが、比較にならないほど上昇しているのです。  そろそろ、「小学生」のキャパシティを超えると言われています。どうあがいても覚えきれない、理解しきれない領域に、5年から10年以内には到達してしまう。少子化の影響で中学受験熱が冷めるのが早いか、子どもが限界を感じるのが先かのチキンレースです。
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「小学校3年生の冬」に入塾しないと間に合わない
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1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。MENSA会員。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa

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