林雄司氏が考えるヒット企画『奥の細道なう』
出版不況と言われる昨今。でも、企画さえよければ売れるはず。てなわけで、「実現困難だけど、こんな本なら絶対売れる!」というドリーム企画を目利きの皆さんに披露してもらいましょう!
●林 雄司氏
「旅しながら一句詠むって、すごくツイッター向きですよね」
「前から欲しいなと思ってたのは『薄毛のためのヘアカタログ』。僕も最近どんどん毛が細くなって気になるんですけど、需要はすごくあると思うんですよ」と髪をなでながら語るのは、人気サイト「デイリーポータルZ」の林雄司氏。
「ただ、薄毛って言っちゃうと買いづらいから、いい感じのネーミングがあるといいですね。シャンプーとか少なくて済むので『エコヘア』とか。最近の流行に乗って『クラウドヘア』とか。自分の頭にたくさんの毛を生やしておくのはもう古い、という。あと、『ノマドヘア』もいいかなー」って、わかるようなわからんような……。
◆室町幕府がフェイスブックをやってたら!?
企画発想における林氏の得意技は「パターンを見つけて、別の異質なものに当てはめる」こと。
「以前、大政奉還をプレスリリース風に書くというのをやったんですけど(笑)。歴史ってそういうネタにはいいんですよ。最近いろんな企業がフェイスブックやってますけど、そのノリで『もし室町幕府がフェイスブックをやったら』とか。それを読むと、室町幕府の出来事がよくわかるという」
シリーズで出せば受験生に売れるかも。戦国武将ごとに作れば歴女にもウケそうだ。同様の発想で、松尾芭蕉著『奥の細道なう』なんて企画も。
「『平泉着いたなう』とか言って(笑)。旅しながら一句詠むって、すごくツイッター向きですよね。著作権切れてるだろうから、お金もかからないし。『土佐日記』なんかも『土佐ブログ』にしちゃう。だって日本最古のブログですもんね。しかも女を演じてるって、日本最古のネカマですよ(笑)」
では、「この人にこんなものを書かせたら面白い」というのは?
「最近面白いなーと思ったのはAIJの社長の人。全然反省してなくて、『まだいける、もうちょっとで勝てた』みたいなこと言ってるのがすごい。なんかホントにパチンコにハマるダメな人みたいな感じで(笑)。もう一人、カジノで大損した大王製紙の人もいい。あの2人がギャンブル必勝法を語り合うとか競馬やカジノで勝負するとか。それはすごい読みたいですね」
逆の意味で『ほこ×たて』的な究極の対決。確かに読みたい!
【私の企画案】
松尾芭蕉 著
『奥の細道なう』
浅川和彦(AIJ)×井川意高(大王製紙) 著
『それでもボクは負けてない』
【林 雄司氏】
’71年生まれ。「デイリーポータルZ」「webやぎの目」「死ぬかと思った」などのサイトを運営。著書『死ぬかと思った』はベストセラーに
イラスト/カネシゲタカシ
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