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「苦労することと幸せであるということは無関係」障害児を家族として迎えた元牧師の主張

 障害児や医療的ケアが必要な子を持つ家族からの相談を受け、特別養子縁組の支援にも携わる団体「小さな命の帰る家」。その代表を務める松原宏樹さん(57歳)は活動のかたわら、自らも障害を抱えた子ども2人を家族として迎え入れている。  障害を持って生まれたという理由で親から見放され、“帰る家”すら持てない子どもたちは少なくない。そうした現実と日々向き合い続けている松原さんに話を聞くため、奈良県の自宅を訪ねた。

松原宏樹さん(左)、妻・斉子さんと遊ぶやまとくん

赤ちゃんに障害があることで絶望しても責められない

 自宅に入ると、廊下には買い置きのオムツが積まれ、リビングの入り口や階段口には子どもが行き来して危ない目に遭わないようにするためのゲートが設置されていた。医療的ケア児と暮らす家庭の日常が、そのまま切り取られているような空間だ。  松原さんには5人の子どもがいる。上の3人は実子。下の2人は生まれながらに重度の障害を抱え、特別養子縁組で迎えたやまとくん(6歳)と、えまちゃん(5歳)だ。 「子どもたちを救う活動を進める一方で、障害が重い子と出会ったら自分の家族に迎えようと決めていました。そんなときに相談を受けて出会ったのが、やまとです」  やまとくんはダウン症があり、心臓に穴が空いていた。実母は出生前診断を受けておらず、妊娠後期のエコー検査で初めて症状を告げられたという。 「相談を受けた時点で、ご両親はもう子どもを育てられない精神状態でした。お母さんは『この子が生まれたら殺して、残った家族と一緒に自分も死にたい』と話すほど追い詰められていました」  当時の母子手帳を見せてもらった。そこには、待望の男の子を授かった喜びや期待が枠いっぱいに綴られている。しかし、医師から障害があることを告げられた日を境に、記録はぱったりと途絶える。その「空欄」は母親の深い絶望が詰まっているように見えた。

現在57歳の松原さん。子育てのために体力づくりにも励んでいるという

「相当なショックだったんだと思います。出生前診断でダウン症と判明した結果、中絶を選ぶケースも増えていますし、障害に対する偏見もいまだ根深い。中絶が現実的でない段階での告知だったこともあって、パニックになり、そのように考えたのだと思います」  やまとくんは生まれたときから心臓の状態が悪く、NICUから出られない日々を送っていた。松原さんは、実親、病院、行政との話し合いを重ねた末、特別養子縁組というかたちで自宅に迎え入れた。 「迎え入れる直前、お母さんから『この子と家族になったら、あなたの実の子の結婚に悪影響が出ませんか』と聞かれました。でも、上の娘は『障害が理由で付き合えない人なら、こちらからお断りです』と言ってくれた。僕から頼んだわけでもないのに、うれしいひと言でした」
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実の両親、そして病院からも見放されていたえまちゃん
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浅く広くがモットーのフリーライター。紙・web問わず、ジャンルも問わず、記事のためならインタビュー・潜入・執筆・写真撮影・撮影モデル役など、できることは何でもやるタイプ。X(旧Twitter):@matsushima36

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