更新日:2015年09月14日 15:16
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元ヤクザ牧師の下で更生の努力をするアウトローたち――「人生の半分を刑務所で」「小6で援助交際」

 28歳までヤクザとして過ごし、敬虔なクリスチャンだった父親が死の床でも息子を案じて祈りをささげる姿を見て悔い改め、牧師に転身した金沢泰裕さん。現在は元ヤクザ、薬物依存者、非行少年らを救う立場に変わった。
元アウトローたちの新生活

薬物中毒者、社会復帰した元犯罪者、子供の非行に悩む親たちと金沢さんは、真正面から向き合う

 その活動の一環として行われている信者宅での勉強会に参加させてもらった。賛美歌から始まり、聖書の教えに基づき、一週間の反省や感謝をする様子は、ほかのクリスチャンの集まりと何も変わらない。しかし、彼らはほぼ全員が懲役経験者という元アウトローなのだ。 ◆聖書を学ぶことで価値観を変える 「私は人生の半分を刑務所で過ごしましたからね」と言うのは、最年長の元ヤクザの男性(67歳)だ。 「デートクラブを乗っ取ったことがありましてね。拳銃で弾いたったら、経営者がけぇへんようになって。デート嬢は15~16人おったし、ええシノギになりましたよ」  その男性を教会に連れてきた男性(54歳)も元ヤクザである。 「ヤメたきっかけは抗争事件で鉄砲玉になれと言われ、いややなぁと思って道具持ってウロウロしているうちに、指詰めな事務所に帰られへんようになりまして。指詰めてカタギに戻ったんですよ」  女性陣も負けず劣らずだ。遊郭(ちょんの間)を仕切っていた元女将もいれば、「365日シャブ打ってた」という主婦(51歳)もいた。そんななか、最年少の女性信者(21歳)の話にはさらに驚かされた。 「私は小学生の頃、精神障害者の母親には首に包丁を突き付けられ、学校でもいじめられ、小6で援助交際を始めました。中2で妊娠して、子供を1人産みました。それから薬物に狂って、薬物を買うために年齢をごまかして風俗で働き始めたんです。身も心もボロボロになって、警察に保護されたときは骨と皮だけでした」  それが18歳のとき。その後、病院で地獄のような2年間を過ごし、金沢さんが牧師をしている大阪弟子教会に導かれるようにして転がり込んできた。 「今は勉強して牧師を目指しています。キリストによって救われたというリアリティが強いから、それを伝道したいんです」 ⇒【後編】「ヤクザの追放だけでなく、足を洗った人たちを生かす受け皿が必要」に続く https://nikkan-spa.jp/860537 【金沢泰裕氏】 ’64 年、大阪府生まれ。18歳でヤクザとなり、背中には見事な龍虎の入れ墨がある。精神的に追いつめられ、28歳で足を洗う。現在は大阪弟子教会担任牧師や大阪府薬物乱用防止員などを務め、元ヤクザや問題を抱えた若者の相談に乗っている。映画『親分はイエス様』のモデルの一人でもある ― 元アウトローたちの新生活【5】 ―
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