更新日:2011年08月11日 15:12
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被災した不倫カップルの避難所事情

 被災地では、夫婦・カップルで被災し、双方が生き延びたことで愛を深め合った、という話をよく耳にする。 しかし、逆に仲が険悪になったケースもある。いわゆる「不倫」関係のカップルだ。 「生き残ったことを不幸に思います」 うつろな目で語るのは、南相馬市内の工場で勤務していた里美さん(仮名・34歳)だ。  付き合って6年になる彼は子持ちの既婚者。 「妻はただの家族で、愛情はない」との言葉を信じていた。  そして震災発生時、里美さんは職場の同僚と津波から逃れるため命からがら避難。彼からはすぐ「俺も無事だ。親戚との連絡上、家族と過ごす必要がある。しばらく連絡できない」と電話があり、 その後、回線が不通に。  里美さんの家は津波で流されてしまい、両親の安否は分からない。家族や恋人の元に戻る同僚たちを見ながら、たとえようのない寂しさに見舞われた。 「凄く不安なのに、最愛の人のそばにいられないなんて…」  非常事態で「相手が最も大切にしたい存在が誰なのか」を、残酷に突きつけられたのだ。恋人は家族の絆を深め、自分は1人ぼっち。回線が復旧してからも彼からの連絡は、ない。 「不倫って、いろいろと余裕がないと、できないんですよね…」  避難所事情に詳しいライター・U氏によると、「実はこのようなケースが少なくない」という。 「彼・彼女たちは『日陰の身」であるがゆえ、誰にも相談することができない。『不謹慎だ』という非難も当然避けられないですしね。だからあまり表沙汰にならないんです」  何もかも失った上、心の支えとなるはずの人も離れていくという二重苦。いくら道ならぬ恋をしたとしても、非常時では平等に救われるべきであるが……。

何もかも失った上に生きながら別離の追い打ちは耐えがたい (写真と文章は関係ありません)

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