[激安飲食チェーン店]食い倒れ大調査【焼き肉編】
長引くデフレ不況で消費を控えるなか、活況を呈しているのが低価格の飲食チェーン店。しかしその裏では、熾烈な価格競争が繰り広げられている。今回、取材班は話題の店で徹底的な覆面調査を行った!
【焼き肉】低価格の焼き肉店はどんな儲けの仕組みなのか?
最後に、低価格の焼き肉店はどんな儲けの仕組みなのか?
「焼き肉店の原価率は40%といわれますが、焼き肉は基本的に客が生肉を焼くため、調理はほとんど不要。だから他業態の飲食店よりも人件費がかからない。いい食材をいかに安く仕入れるかがポイントになります」(子安氏)
今回取材をした焼き肉チェーン3店のなかで、カルビ290円など低価格で提供していた「安安」は天井の配管が剝き出しで内装はシンプルだった。ただ、唯一七輪での炭火焼き肉を提供していた。
「炭火焼き肉で差別化を図っているのでしょう。炭火というと高級なイメージがありますが、安価なものも多い」(同)
飲食店で一般的に使われるオガクズを圧縮して形成した「オガ炭」などは、10kg1000円台から。「炭火」で、集客効果が高いのであれば、痛い出費でもなさそうだ。
それにしても、熾烈な価格競争は一体どこまで続くのか?
「極端な話、価格競争はまだまだ可能。例えば3個300円のカキフライなら、2個200円で出せばいいだけですから。でも単に安いだけで、見た目や量に客が納得しなければ意味がない。居酒屋なら200~250円前後が限界ではないでしょうか」(江間氏)
「価格競争に参入したら最後、お互いに潰し合い、結果として数社しか残らないのでは」(子安氏)
消費者にとって嬉しい激安ブーム。しかしそれは、血のにじむような企業努力の賜物というわけだ。
【子安大輔氏】
飲食コンサルタント。東京大学卒業後、博報堂に入社。飲食業界に転身し、(株)カゲンを共同設立。著書に『「お通し」はなぜ必ず出るのか?』(新潮新書)
【江間正和氏】
外食コンサルタント。住友信託銀行を経て東京未来倶楽部(株)設立。新宿にダイニングバー「みーるーむ」を開業。著書に『「とりあえず生!」が儲かる理由』(講談社)など
取材・文・撮影/藤村はるな 斎藤武宏 宮下浩純(ミドルマン) SPA編集室 横山 薫(本誌)
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